新生活サービスプラットフォーム事業を展開するリベロは、「2023年春、『引越し難民』は発生するのか?」と題して、全国130社の引越会社が加盟するHAKOPLAの定例会で実態調査を実施した。
「引越し難民」という言葉をニュースで目にした人も多くいることだろう。今年の春、「引越し難民」問題が再発する可能性が高いと業界で予測されている。
2019年「働き方改革関連法」(以下、「働き方改革」)が実施され、引越しスタッフの労働時間に制限が出たことで、1日に対応できる引越しの作業件数が減り、「引越し難民」と呼ばれる人たちが大量発生した。
そして、この「働き方改革」により、労働時間の制限がドライバーも対象になることが決まった。いわゆる「2024年問題」だ。
労働時間の短縮により、ドライバーの走行可能距離は2割も削減される。既に、今年の繁忙期から一部の引越会社では引越しの受注件数を減らしたり、長距離引越しの対応を無くすといった対策を始めており、引越し作業件数の減少が明らかになってきた。
このような状況の中、実施された今回の調査。どんな結果が得られただろうか。
2023年の引越し申込件数について引越各社に予測してもらった結果、2022年と同等、もしくはより増えると回答した割合は全体の86%と、かなり多い予測となった。
2024年4月、トラックドライバーの時間外労働の規制が強化。具体的には、「ドライバー1日の労働時間が短縮」「走行可能距離約2割減」「時間外労働が年間960時間に規制」が実施となる。
長距離引越しの場合、トラックドライバーの増員(現在→ドライバー1名/施行後→交代ドライバー含む2名)が必須だ。現在のドライバー不足は業界全体の課題となっており、このまま深刻化すると、長距離の引越しは効率が悪く、受注する引越会社が減り、最終的には引越価格の高騰に繋がる。
「2024年問題」に対して各引越会社が行っている対策状況について聞いたところ、対応を進めているとの回答は66.7%、約7割の結果に。既に完了していると回答した引越会社は2.8%だった。
「2024年問題」が消費者に与える影響について、引越会社の経営者に聞いた。
■引越会社経営者の声
・労働時間に制約が出ることで、これまで受けてきた引越しをお断りする可能性もありえる。(おおよそ4割減見込み)
・長距離対応(福岡〜広島)が難しくなり、受注件数を減らさないと対応が追いつかない。
さらに、こんな声も聞かれた。
続いて、2022年の引越単価と比べて価格の変動はどの程度なのかを調査した。
単身・家族引越しどちらも30,000円ほど増額。特に短距離・中距離で高くなるという結果となった。
また、長距離に関しては対応していないという引越会社も38%ほどあり、今後、長距離の引越し対応が懸念されていることもわかった。
今回の調査結果により、2023年の春、「引越し難民」が発生する可能性や、価格が高騰する見込みは高いと予測されている。
引越価格を少しでも抑えるために、繁忙期シーズンの割引率が高い時期はいつなのだろうか。調査の結果、1位「GW明け」、2位「4月中旬」、3位「5月入ったら」となった。
最後に、「春の引越しおすすめ時期」について、引越会社から寄せられた回答を見てみよう。
・5月10日以降30%以上の割引が可能(friends / 京都府)
・5月10〜20日だとピーク時より50%以上安くなる可能性あり (YELL / 大阪府)
・3月下旬より4月中旬の方がピーク料金に比べて60%安く出来る (九州協栄 / 福岡県)
・4月中旬またはGW後半がおすすめ (ワクワク引越しサービス / 東京都)
・4月17日より遅い引越しであればピーク料金より半額以下の料金でできる (ハピネス / 北海道)
今回の調査結果を受けて、同社では以下のようにコメントしている。
その後、コロナ禍で春の引越し件数は一時的な縮小傾向が見られましたが、今年は来年に控える「物流業界の2024年問題」の影響を見越した引越会社各社の動きにより、再び「引越し難民」が発生する可能性が高くなってきていることが調査結果より推察できます。
特に、近場での引越しよりも長距離移動の引越しにその影響が大きくなりやすく、この傾向は来年以降もさらに顕著になると考えられます。