意見を言い合う場面などで使われる「一理ある」という表現。よく聞く言葉ではあるものの、実は意味がわかっていないという方もいるのではないでしょうか。
本記事では、「一理ある」の正しい意味や使い方・例文を紹介します。また、目上の人に対して使っても失礼にあたらないかどうかや、類語・言い換え表現、英語表現などについても解説するので、ぜひ参考にしてください。
「一理ある」の意味とは
「一理ある」とは、「物事に一つの道理や一応の理屈があること」を意味します。議論中に相手の意見に対して理解を示したいときなどに使う言葉です。
読み方は「いちりある」となります。
「一利ある」との違い
「一利ある」という言葉も同じ「いちりある」と読みますが、意味は異なります。一利は、「百害あって一利なし」というように「利益」や「利点」という意味です。間違って使わないよう注意してください。
「百理ある」という表現は間違い
「一理ある」と同じような表現で、「百理ある」という表現を用いる方もいますが、「百理ある」は辞書に記載がある正式な言葉ではありません。一理あるにちなんだ造語で、主にSNSなどで使う表現になります。正しい表現ではないため、ビジネスシーンでは使わないよう注意しましょう。
「一理ある」の使い方・例文
ここでは、「一理ある」の使い方と例文を紹介します。ビジネスでよく使う表現なので、この機会に正しい使い方を覚えておきましょう。
相手の意見に理解を示すときに使う
「一理ある」という表現は、議論などで相手の意見に全面的に賛成できるわけではないものの、納得できる部分や理解できる部分があった場合になど、そのことを伝えるために使います。
意見が対立して議論が進まないときは、「一理ある」という言葉を使って相手の意見に理解を示すことも大切です。
ビジネスシーンで使える例文
・ここまで言う必要はなかったが、先方の言い分も一理ある。
・弊社側の意見も一理あるということで納得いただけました。
・それも一理あるとは思うが、賛成はできない。
・Aさんは一理あると言っていますが、私は納得いきません。
「一理ある」を目上の人に使うと失礼にあたる?
「一理ある」という表現は、一部は納得できるという意味で好印象に捉えられることもありますが、納得はできない・賛成はできないというように不満があると受け取られる可能性もあります。
自分の考えや意見を述べることはビジネスにおいて大切なことですが、取引先や上司など目上の人に対して「一理ある」という言葉を使うと不快感を与える可能性もあるので、使う場面や使い方には注意が必要です。
「一理ある」の類語・言い換え表現
「一理」の類語として「一義」という言葉がありますが、「一義ある」という表現はあまり使われません。「一理ある」という言葉以外で相手の意見に理解を示したい場合は、以下のような言い換え表現を参考にしてみてください。
・Aさんの意見は、ごもっともだと思います。
・あなたの意見は筋が通っているように思う。
・解決策という観点では理にかなっているのではないでしょうか。
・貴社の案は合理的だと思います。
・懸念事項についてはおっしゃる通りです。
「一理ある」の英語表現
「一理ある」を英語で言いたい場合は、いくつかの表現が使えます。ここでは4つの例文と日本語訳を紹介するので、状況に合わせて使い分けてください。
・That’s a good point. = それはいい点ついていますね。いい指摘ですね。
・You(He/She) have(has) a point. = そういう考えもありますね。要点をついていますね。
・You(He/She) have(has) got a point. = おっしゃる通りですね。
賛成意見に傾いている場合
・Sounds like a good idea. = それはいい考えですね。
「一理ある」という言葉を使うときは気をつけよう
「一理ある」という表現は、議論において相手の意見に全面的に賛成できないものの、納得できる部分や理解できる部分があると伝えることができます。
相手の意見に理解を示しつつ自分の意見を主張できるので、うまく活用できればコミュニケーションが円滑に進み、お互いの意見の中間を探って納得いく結論を導き出せるかもしれません。意見が対立して議論が進まないような場面で使ってみるといいでしょう。
ただし、取引先や上司など目上の人に対して使うと不快な思いをさせてしまう可能性もあるので、使う相手や場面には注意が必要です。角が立つ恐れがある場合は、本記事で紹介した言い換え表現なども参考にしてみてください。