楽しい休日が終わり、明日は月曜日。仕事のことを考えると、日曜日の夕方はいつも憂鬱(ゆううつ)…。それ、「サザエさん症候群」かもしれません。
国民的アニメであるサザエさんの名前がついたこの症状が出た人は、心や体に負担がたまっているのかもしれません。今回はサザエさん症候群の意味や特徴、原因を、対処法と併せて紹介します。
サザエさん症候群とは何か
「サザエさん」は、毎週日曜日の夕方に放映されるアニメです。作品の明るさとは裏腹に、「サザエさん症候群」とは不穏な雰囲気を持つ言葉ですよね。
まずはサザエさん症候群の意味や由来について見ていきましょう。
サザエさん症候群の意味は、日曜日の夕方ごろから憂鬱感を抱くこと
サザエさん症候群とは、正式な病名ではありません。「日曜日の夕方になると、翌日のことを考えて憂鬱になる」という現象を指す俗称です。
シフト制の仕事や、日曜に学校で部活動を行う場合などもありますが、平日に仕事や学校に行き、土日休みという人は多いですね。楽しい週末の後に待っている仕事や学校は、普段よりつらいものに感じます。サザエさん症候群は、この週明けへの不安を表しています。病気ではないとはいえ、心当たりのある人はかなり多そうです。
世界的にはブルーマンデーと呼ばれ、月曜日を憂鬱に感じる人は多い
しかもこの感覚は、世界中で共有されているようです。
英語圏では、休日明けの月曜日を憂鬱に感じる現象のことを「ブルーマンデー(Blue Monday)」などと呼びます。
「また一週間が始まる」という感覚は、世界中で憂鬱なものとしてとらえられているようです。
サザエさん症候群の名前の由来
「サザエさん」は1946年(昭和21年)に、長谷川町子さんにより発表された漫画で、1969年(昭和44年)にはアニメ化されました。以来、50年以上の長寿番組として、日本のお茶の間をにぎわせています。
放送時間は日曜日の夕方である18時30分から。ゆっくりと過ごすことの多い夕食どきです。家族のほのぼのとした日常を描く「サザエさん」の放送は、楽しい休日の終わりも意味します。
週末の最後の時間を過ごしながらも、頭の中はそろそろ仕事モードに切り替えなくてはなりません。リラックスタイムに忍び寄る心のざわつきが、「サザエさん症候群」なのです。
サザエさん症候群の特徴・症状
それでは、具体的にはどんな症状をサザエさん症候群と呼ぶのでしょうか。サザエさん症候群には、大きく分けて「身体的症状」「心理的症状」の2つがあります。それぞれの、代表的な症状をまとめました。
【身体的症状・特徴】
- よく眠れない
- 食欲がない
- 頭や胃が痛くなる
- 倦怠感(けんたいかん)がある
【心理的症状・特徴】
- 不安になる
- 憂鬱になる
そのほかにも発熱したり、理由もないのに涙が出たりする人もいるようです。
毎週決まった時間になると気分が憂鬱になる人は、すでにサザエさん症候群になっているのかもしれません。
サザエさん症候群になる原因として考えられるのはストレス
サザエさん症候群の原因は、ストレスだと考えられています。仕事や対人関係のストレスから月曜日を迎えるのがつらいと感じることが、数々の不調を引き起こすのです。
ここではサザエさん症候群を引き起こすストレスについて、考えられる主な原因を見ていきましょう。
体力的にしんどい
繁忙期や過酷な労働環境での勤務が長引くと、まずは体に限界が来ることが多いです。睡眠不足や疲労の蓄積から、体調を崩しやすくなるのです。そうなると、精神的にも負担が生じます。
忙しくなればなるほど、休みを取りづらくなるものです。少しくらい体調が悪くとも、我慢してしまう人も多いはず。そうした無理が重なると、休日明けの月曜日を憂鬱に感じるようになるのです。
業務がうまくいっていない
難しいプロジェクトが進行中のときは、同じ労働時間でも精神的にストレスを感じます。結果が出なければなおさらです。周囲からのプレッシャーや、目標達成に向けた自分自身の焦りも重なります。
就労経験の浅い若い人は、慣れない現場への戸惑いや覚えることの多さから、いつのまにかストレスを抱え込んでいることも。業務がうまくいっていないときには一時的にサザエさん症候群に陥る、ということもありそうです。
会社での人間関係
人と人との関係は厄介です。悪気がなくとも相手を傷つけてしまったり、なんでもないことでつらくなったりすることもよくあることです。
それが職場内でのことになれば、業務にも支障をきたす可能性があります。職場の人間関係が悪くなると居心地が悪くなるだけでなく、すぐには環境を変えることもできないため、「どうしようもない」という行き詰まり感がストレスを溜める原因になるのです。
休日にストレス解消がうまくできていない
ストレスが溜まっても、それを上手に発散できる人はサザエさん症候群になりづらいでしょう。憂鬱な気分になっても、ポジティブな気分に切り替えることができるからです。
しかし、没頭できる趣味や夢中になれることがない人は、溜め込んだストレスを発散させることができず、憂鬱な気分を引きずってしまいがち。ストレスを溜め込みやすい環境にある人ほど、休日の使い方や新しい趣味について考える必要がありそうです。
サザエさん症候群になりやすい人の特徴
それでは、どんなタイプの人がサザエさん症候群になりやすいのでしょうか。サザエさん症候群になりやすい人の特徴には、以下のようなものが考えられます。
- 不安や悩みがあっても、一人で抱え込んでしまう
- 責任感が強い
- 弱音を吐かない
- やりたい仕事ができず、やりがいを感じられない
真面目で手抜きができず、何事も一人で解決しようと頑張ってしまう人ほど、サザエさん症候群になりやすいと言えそうです。
自分はサザエさん症候群になりやすいタイプだと思ったら、決して無理をし過ぎず、早めに対処することが肝心です。
サザエさん症候群の対処法
では、サザエさん症候群になってしまったときは、どうすればいいのでしょうか。ストレスの原因を取り除かなければ根本的な解決は難しそうですが、少しでも月曜日の憂鬱を軽くするためにできることがありそうです。
例えば…
- 好きな音楽を聴いたり、好物を食べたりする
- 月曜日に楽しみを作る
- 生活リズムを整える
憂鬱になったときには、好きなものに触れて気分転換をすることが有効です。また、月曜日にはお気に入りのお店でランチを食べることを習慣にするなど、楽しみを作っておくことも気持ちを切り替えるきっかけになるでしょう。
そしてなにより、生活リズムを整え、体の調子を良くしておくことが心の不調を取り除きます。栄養をとり、ゆっくり眠ることを心掛けて、自分に優しくしてあげましょう。
サザエさん症候群を予防する日曜日の過ごし方
生活リズムを整えるには、休日の過ごし方が重要です。次は、サザエさん症候群を予防するために適切な日曜日の過ごし方についてまとめました。
昼まで寝て生活リズムを崩すことは避ける
「休みの日くらいゆっくり寝たい!」と思うのは普通のこと。ぐっすり眠って睡眠負債を解消するのは、疲れを取るのに有効といわれていますが、休日に昼まで寝てしまうのは逆効果です。
生活リズムが崩れると、体には大きな負担になります。たくさん寝たはずなのに疲れが取れない、という人は、体内時計にズレが生じた状態になっているのかもしれません。
平日は忙しくて睡眠が足りていないという場合は、休日も平日と同じ時間にいったん起きて昼寝をするか、同様に起きる時間は変えずに早めに就寝することをおすすめします。
昼間はなるべく外出し日光を浴びる
朝、目覚めてすぐに日光を浴びると、体内時計が整うことが知られています。また日中に太陽の光を浴びておくと、睡眠を促すメラトニンというホルモンの分泌が夜に増えるそうです。
カーテンを閉じた家の中で一日過ごすと、気分もすっきりしないままで月曜日を迎えることになります。日がある時間帯のどこかで散歩や買い物に出掛けて、気分転換をするのがおすすめです。
休日なのに仕事をするのは避ける
せっかくの休日なのに仕事が気になってしまう人は要注意! 休みなく仕事を続けるのは、効率の面でも逆効果です。
適切な休息を取ることで仕事のミスも減り、見落としていた手違いに気付くこともあるでしょう。休日は休み、勤務時間にはしっかり働く、とメリハリをつけることが重要です。
うつ病になりそうなほど重症な場合は、転職を視野に入れるのも一つの手
サザエさん症候群は、正式な病名ではありません。しかし憂鬱な状態や不調が続くようなら、それはうつ病の始まりかもしれません。
また、合わない仕事を無理に続けるのは良策とは言えません。時には新しい職場に活躍の場を求める決断も必要かもしれません。サザエさん症候群は、心と体が発する最初のSOSとも言えます。しっかり受け止めて、自分の状況を判断してくださいね。