キリンビールのクラフトビールブランド スプリングバレーブルワリー(以下、SVB)では3月3日より、まろやかな麦のうまみとオレンジピールやコリアンダーシードのスパイシーな香りが特徴の「東北魂ホワイト」を代官山のスプリングバレーブルワリー東京にて数量限定で提供する。レギュラーサイズ(360ml)が990円。メディア説明会では、東北のブルワリーが思いを語った。
■東北魂ビールプロジェクトとは?
東北魂ホワイトは、東北魂ビールプロジェクトに参画するSVBを含む13ブルワリーが同じ原料、同じ製法で醸造したクラフトビール。同プロジェクトは2013年11月に、いわて蔵ビール、秋田あくらビール、福島路ビールの3社から始まった取り組み。東北地方のブルワリー有志が集まり、世界に通用するビールづくりを目指して日々技術研鑽している。
東北魂ビールプロジェクトは、2018年3月に第1回東京イベントを開催した。このときは8ブルワリーで同じビールを醸造したという。それ以来、年に1回の頻度で同じ原料、同じレシピでビールを醸造し、キリンビールが科学的な分析をしている。各ブルワリーではディスカッションもし、改善点を見つけ出すことをやっているそう。
メディア説明会に登壇したキリンビール マスターブリュワーの田山智広氏は、同社と東北の縁について紹介した。仙台の地にキリンビールが製造拠点をおいたのは1923年のこと。そして現在、キリンでは東北地方で日本産ホップの栽培に注力している。「残念ながら日本産ホップの生産推移は、年々、減少しています。これを反転し、ゆくゆくは増加に持っていければ」と今後の展望を語る。
■東北を世界に通用するビール生産地に
世嬉の一酒造 3代目(いわて蔵ビール代表)の佐藤航氏は「東日本大震災のとき、全国のファンの方が支えてくれました。その応援で生きながらえてきた部分がある。以来、弊社を含めて東北のブルワリーたちはどうやって恩をお返しできるか、ずっと考えてきました。それぞれの事業規模は小さい。そこで品質を向上し、美味しいクラフトビールをつくることでお返ししていこう、そんな思いからプロジェクトが始まったんです」とこれまでの経緯を明かす。現在は13ものブルワリーが集まり、東北を世界に通用するビール生産地にしていこうと意気も揚がっている。
「同じレシピで醸造しているはずなのに、色も香りも違う。プロジェクトは、これまで疑問を持っていなかった醸造工程を見直すきっかけにもなりました。各ブルワリーでディスカッションをすることで、品質のさらなる改善にもつながっているんです」と佐藤氏。
また、スプリングバレーブルワリー ヘッドブリュワーの古川淳一氏は「キリンビールおよびSVBは『ビール業界全体を盛り上げたい』という思いで東北魂ビールプロジェクトに2017年11月(第7回)から参加しています。実際に参加してみると、ブルワリーの課題を知ることができました。それはビール業界全体の課題にもつながることでした」。いただいたご縁を大切にして東北のビール文化の盛り上がりに貢献できるよう、全社をあげてやっていきたい、と抱負を語った。
東北魂ビールプロジェクトのビールが楽しめる店舗も拡大中。3月9日にはクラフトビアマーケット田町店にて、3月10日にはクラフトビアサーバーランド赤坂見附、およびトレジオンポート赤坂にて、各ブルワリーのクラフトビールを提供する。