韓国ドラマやK-POP、韓国ファッション・コスメなど、韓国のポップカルチャーはかつてないほど身近な存在になっています。「第4次韓流ブーム」とも言われますが、もはや「ブーム」と称することに違和感を覚えるほど。韓国ポップカルチャーの浸透を受けて、日本国内の韓国語学習者も急増中。若年層のあいだでは、日本人同士の会話でちょっとした韓国語のフレーズを使うのもトレンドになっています。

世界で展開する無料語学アプリ「Duolingo」は、韓国語学習において、他の外国語とは学ばれ方に違いがみられるといいます。どういうことでしょうか?

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中国、インド、マレーシアなどアジア諸国でトップ5にランクイン、世界でも高まる韓国語学習熱

日本のDuolingoユーザーが学びたい言語として、韓国語は英語に次いで2番目に人気の言語。2021年2月に日本語話者のための韓国語講座が開始されて以来、韓国語は不動の2位を維持しており、現在、日本のDuolingoユーザーの22%が韓国語を学習しています。

日本のみならず、世界的にも韓国語は人気上昇中。Duolingoでは、韓国語は世界で7番目に人気の学習言語となっていて、中国・インド・日本・マレーシア・フィリピン・タイ・ベトナムではトップ5にランクインしています。また、ドイツや中南米でも急速に学習者を増やしているそうです。

  • Duolingo調べ

『イカゲーム』のヒットで新規学習者が40%増加

義務教育で学ぶ英語が1位というのはある意味必然ですが、日本のDuolingoユーザーのあいだでは堂々の2位につけている韓国語。韓国語学習がそこまでブームになっている背景には何があるのでしょうか。

韓国語学習熱の高まりは、やはりポップカルチャーの影響が大きいといいます。例えば、Netflixシリーズの大ヒット韓国ドラマ「イカゲーム」公開後の2021年9月には、Duolingoにおける韓国語の新規学習者が約40%も増加。このことから、韓国語学習を自分の興味・関心とつなげて考えている人が多いことがわかります。

昔は、言語学習といえば学業やキャリアアップのためのものでした。ところが今は、若い世代を中心として、言語学習が自分の興味・関心を高め“究極のファン”になるための手段になってきているのです。

面白い現象として、韓国好きの若年層のあいだでは、日本人同士の会話でもちょっとした韓国語のフレーズを使う人が増えていることが挙げられます。

  • Duolingo調べ

Duolingoの調査で、日常的に韓国語を使うと回答した人がよく使う韓国語TOP5が上の通り。

「アンニョンハセヨ(こんにちは)」「カムサハムニダ(ありがとう)」といった定番のあいさつに加えて、「ケンチャナヨ(大丈夫)」「マシソヨ(おいしい)」など、韓国ドラマにもよく登場するフレーズを日常会話に取り入れている人が多いようです。

韓国語を学ぶ動機は「人とのつながり」「ただ楽しいから」

学業や仕事上の必要性から英語を学ぶ人が多い一方、韓国語学習者の特徴は、趣味の延長線上で学んでいる人が多いということ。韓国ドラマやK-POP人気を受けて、韓国語の歌詞を理解するため、あるいは“推し”の最新情報をキャッチするために韓国語を学んでいるのです。

調査結果を見ても、日本の新規学習者が韓国語を学び始める理由のトップが、「人とのつながり」で26%にのぼっています。「ただ楽しいから」という理由も24%を占めており、韓国語新規学習者の多くが「学業やキャリアに役立つこと」を求めているわけではないとわかります。

日本の新規学習者が英語を学ぶ理由のトップが「教養をサポートするため(33%)」であったこととは対照的といえるでしょう。

韓国語学習者は、年代が「若い」

学ぶ動機が違うということは、学んでいる人のタイプにも異なる傾向が見られるということです。最近の韓国ブームをけん引しているのが若年層ということもあり、ほかの言語の学習者に比べ、韓国語学習者は年代が若い傾向にあります。

  • Duolingo調べ

日本におけるDuolingoユーザーの年齢データを見てみましょう。上のグラフの青が「全体平均」、赤が「韓国語学習者」、黄色が「英語学習者」です。

30代以降は「英語学習者」が「韓国語学習者」を上回っている一方、13~17歳・18~22歳・23~29歳のグループでは「韓国語学習者」が「英語学習者」を上回っています。

アメリカでも、韓国語・日本語・中国語を学んでいるDuolingoユーザーの83%が30歳以下だそう。また、韓国語や日本語を学んでいる人は、「学業」「キャリアアップ」といった伝統的な理由よりも、個人的な興味・関心などが動機で学習していることが多いことがわかっています。

動画やアプリでお金をかけずに学習する人が多数

実際に韓国語を学んでいる人は、どのような方法で学習しているのでしょうか。

Duolingoが韓国語学習者を対象に行った調査では、YouTube等の「動画」を活用している人が47.5%を占めてトップに。2位以下は「アプリ(45.6%)」「教本(36.8%)」「オンラインレッスン(23.4%)」「対面語学教室(19.2%)」と続き、動画やアプリなど無料で利用できるオンラインツールが活用されている実態がよくわかります。

「言語学習を始めるときは、まずテキストを買う」という古典的なイメージは、もはや過去のものになりつつあるのかもしれません。

また、韓国語学学習にかける1カ月あたりの金額は、3分の1が「無料」という結果に。「無料(33.3%)」「1~2,000円(20.4%)」という回答も含めて、「5,000円以下」が約8割を占めており、あまりお金をかけずに韓国語を学んでいる人が多いことが明らかになっています。

韓国語学習にかける1日あたりの時間として、「31分間~1時間(36.9%)」と「16~30分間(27.1%)」で計6割以上にのぼったことからも、無理のない範囲で楽しく学習を続けている人が多いことがうかがえます。

2023年以降も韓国語学習熱は継続の予感

さらに2023年以降も引き続き、韓国語学習熱は高まる見通しで、2月に調査した「Duolingo Kトレンド2023」では、韓国語学習者の2人に1人が「2022年と比べてモチベーションが向上した」と回答しています。

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その理由を聞いたところ、「韓国ドラマが好きだから(15.5%)」「韓国旅行を楽しみたいから(15.5%)」「K-POPアイドルが好きだから(14.9%)」の3つが過半数近くを占めています。「キャリアアップのため(8.3%)」「ビジネスで活用するから(5.4%)」といった理由はむしろ少数派で、エンタメや旅行といった娯楽が韓国語学習のモチベーションの源になっていることがわかります。

世界がアフターコロナに突入しつつある中、2023年以降は海外がより身近になるとみられ、実際に韓国旅行を楽しんだり、現地で推し活に励んだりするチャンスも増えていくでしょう。引き続き韓国エンタメが世界を席巻している中、韓国語学習熱はまだまだ続きそうです。