大日本印刷株式会社(DNP)が丸善ジュンク堂書店、文教堂及びトゥ・ディファクトと共同で運営するハイブリッド型総合書店「honto」は2月16日、「就職・自己啓発ジャンルの購入調査」の結果を発表した。調査は2019年1月1日〜2022年12月31日、2023年1月1日〜31日の期間、20歳〜30歳を対象に行われたもの。

  • 就職・自己啓発ジャンルの購入調査

まず、「就職・転職ガイド、就職問題集」における2019〜2022年の年間売れ筋タイトルを見てみると、各年においてSPI(総合適性検査)対策問題集が上位タイトルの多くを占めている。

  • ジャンル「就職・転職ガイド、就職問題集」 2019〜2022年の年間売れ筋タイトル

2022年のランクインタイトルはすべて2021年のタイトルの最新版という結果に。このことからも、選考過程の序盤に行われることが多いSPI、webテストは対策必須で、書籍の需要が高いことが伺える。

SPI、webテスト対策以外では2019年と2020年で3タイトルが入っている。2019年では1位に『このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む転職の思考法』、4位に『面接官の心を操れ!無敵の就職心理戦略』、2020年では2位に『科学的な適職 4021の研究データが導き出す最高の職業の選び方』がランクイン。

2019年、2020年の就職・転職市場状況を見てみると、2019年卒まで7年連続で大卒求人倍率は上昇。2020年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の求人倍率はリーマン・ショック(2010年卒)以降で2番目の高水準となっている。

また、2019年は2002年以降で転職者数が最多で、その理由も「より良い条件の仕事を探すため」が「その他」に次いで2位の理由であった。2020年、2021年はコロナの影響で転職者数が大幅に減っている。

2019年、2020年は新卒採用・中途採用市場とともに売り手市場の年だったことから、SPI、web対策以外の書籍が上位タイトルに入ったと考えられる。

2019年〜2022年の4年間に購入されたジャンル「就職問題集」の売れ筋タイトルを、購入時の年齢(20歳〜30歳)を軸に見てみた。

すると、21歳・22歳では就職活動(新卒採用)期のボリュームゾーンであるとし、SPI、WEBテスト対策書籍が上位を占めている。

23歳では、自分と会社の適正、仕事への向き合い方や今後を検討するような書籍がランクインしはじめている。新卒入社3年目のボリュームゾーンとなる24歳では、5位中3タイトルが転職・適職についての書籍となっている。25歳〜30歳では、転職・適職についての書籍が集中し、28歳では転職者用の試験対策書籍がランクインしている。

「ビジネス実務・自己啓発」においては、『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』が2019〜2022年すべてにランクイン。また、2020年、2021年には『会話力速効ドリル 人に伝える7つの力』や『エクセル ワードより簡単!手早くできる文書作成(超速エクセルの仕事術)』がhonto電子書籍ストアでのセール価格販売時に多数購入されランクインしている。

  • ジャンル「ビジネス実務・自己啓発」 2019〜2022年の年間売れ筋タイトル

購入時の年齢別で見てみると、『人は話し方が9割 1分で人を動かし、100%好かれる話し方のコツ』がすべての年齢でランクインしている。20歳・21歳では、自分の強み・活かし方が紹介されている本書の需要が高まる傾向。22歳では、他の年齢とのタイトル重複が最も少なく、23歳以上になると自分なりの「正解」を導き出す手法や考え方を示すタイトルの需要が高まる。

25歳以上では、会社で主力人材となっていく過程から「伝える術」に関する書籍への需要が高まる傾向が見られた。

「ビジネス実務・自己啓発」の 2023年1月の売れ筋タイトルには、2022年後半に刊行されたタイトルが並んだ。1位、2位は全米ベストセラーの翻訳版、3位はスウェーデンでのベストセラーの翻訳版、5位には「就職問題集」ランキングに『科学的な適職』でランクインした鈴木祐さんの新刊がランクインしている。

  • ジャンル「ビジネス実務・自己啓発」 2023年1月の売れ筋タイトル

全年齢でランクインしていた『人は話し方が9割』は4位で、同年も支持が続く事が予想される。