メルセデス・ベンツ日本がコンパクトカーの「Aクラス」および「Bクラス」に大幅改良を実施して発売した。今回の改良で何が変わったのか。ユーザーは若者やヤングファミリーが多いのかと思ったら、そうでもない? Aクラスのプラグインハイブリッド車(PHEV)はどうなるのか。実車を取材してきた。

  • メルセデス・ベンツの「Aクラス」

    大幅改良を受けた「Aクラス」のハッチバック。ボディカラーは新色のローズゴールド

フロントグリルが新デザインに

Aクラスは1997年に登場したメルセデスの小型ハッチバック車。現行モデルは2018年に発表となった4世代目で、2019年にはセダンタイプも登場した。Bクラスは2006年にデビュー。現行モデルは2019年にフルモデルチェンジした3世代目となる。今回の改良はフルモデルチェンジではなく、いわゆるビッグマイナーチェンジ(フェイスリフト)である。

外観では、A/Bクラスのどちらもフロントとリアのデザインが変わっている。フロントには小さな「スリーポインテッドスター」(メルセデスのマーク)をちりばめた「スターパターンフロントグリル」を採用。ボンネットには「パワードーム」という盛り上がりを付けた。顔の雰囲気としては「サメの尖った鼻先」をイメージしたシャープな表情を目指したそうだ。リアには新デザインのLEDコンビネーションランプとディフューザーを装着した。

  • メルセデス・ベンツの「Aクラス」
  • メルセデス・ベンツの「Aクラス」
  • メルセデス・ベンツの「Aクラス」
  • 「Aクラス」のボディサイズは全長4,430mm、全幅1,800mm、全高1,420mm、「Aクラス セダン」は同4,560mm、1,800mm、1,445mm(オプションのAMGライン装着で若干の変動あり)

  • メルセデス・ベンツの「Bクラス」
  • メルセデス・ベンツの「Bクラス」
  • 「Bクラス」のボディサイズは全長4,425mm、全幅1,795mm、全高1,565mm(オプションのAMGライン装着で若干の変動あり)

  • メルセデス・ベンツの「Aクラス」

    グリルがスターパターンに

  • メルセデス・ベンツの「Aクラス」

    ホイールも新デザインになった(写真はAクラス)

インテリアで大きく変わったことといえば、センタコンソールのタッチパッドが廃止となった。タッチスクリーンの方が操作しやすいし、機能が増えてくるとタッチパッドでは対応が難しくなるためだという。

メーターとセンターディスプレイは一体型に。マルチメディアシステム「MBUX」(メルセデス・ベンツユーザーエクスペリエンス)は「Sクラス」や「Cクラス」と同世代の最新版に進化している。

  • メルセデス・ベンツの「Aクラス」
  • メルセデス・ベンツの「Aクラス」
  • メルセデス・ベンツの「Aクラス」
  • 写真は「Aクラス」(ハッチバック)の内装。ステアリングには静電容量式センサーを採用。これにより「ディスタンスアシスト・ディストロニック」(いわゆるACC、自動的に前の車に追従したり同一車線を走行したりしてくれる機能)の使い勝手が向上している

エンジンの構成はA/B共通で1.4Lガソリンターボエンジン(最高出力136PS、最大トルク200Nm)と2.0Lディーゼルターボエンジン(150PS、320Nm)を搭載。動力性能は改良前から変化なしだ。

Aクラスでは改良前までプラグインハイブリッド車(PHEV)が選べたが、改良後は廃止になる。メルセデス・ベンツ日本によるとAクラス PHEVの人気は「ぼちぼち」だったそうだが、Aクラスと同じクラスの電動車としてはSUVの電気自動車(EV)「EQA」があるし、モデル数が多くなりすぎると認証を取る作業なども大変になるため、今回はPHEVを廃止することに決めたのだという。メルセデス・ベンツのPHEVとしては「Sクラス」があり「Cクラス」でも導入予定となっているが、入門編的な位置づけだったAクラスのPHEVは選べなくなる。

改良後の価格はAクラスが「A180」498万円、「A 180 セダン」505万円、「A 200 d」558万円、「A 200 d セダン」570万円。Bクラスが「B 180」537万円、「B 200 d」573万円となる。

どんな人が乗っている?

メルセデスの小型車であり価格的にもエントリーグレードとなるA/Bクラスには、どんな人が乗っているのか。若年層やヤングファミリーが多くても不思議ではないのだが、実態としては50代後半のユーザーが多いらしい。メルセデス・ベンツ日本が示したデータは以下の通りだ。

  • メルセデス・ベンツの「Aクラス」のユーザープロファイル

    「Aクラス」のユーザープロファイル

  • メルセデス・ベンツの「Aクラス セダン」のユーザープロファイル

    「Aクラス セダン」のユーザープロファイル。ハッチバックよりも男性比率が高い

  • 「Bクラス」のユーザープロファイル

    「Bクラス」のユーザープロファイル

不思議に思ったので聞いてみたのだが、若年層やヤングファミリーといったユーザーの多くは小型SUVに移っているらしい。Aクラスには「GLA」、Bクラスには「GLB」というSUVタイプがあるので、そちらに移行しているというのだ。SUVの人気はもはやブームというよりも常態化しているので、さもありなんといった感じである。