シャープは2月27日、AIoT機能を持つ同社のエアコンおよび空気清浄機を対象として(2021年モデル以降)、複数台の機器を集中管理するソリューション「SMART CONSOLE(スマートコンソール)」を発表した。
SMART CONSOLEのおもなターゲットは、介護施設、カラオケ店などのアミューズメント施設、中小企業のオフィス。建物の天井や壁に設置されている設備エアコンではなく、家電量販店で販売しているAIoT対応のエアコンと空気清浄機を用いる点が大きな特徴だ。なお、AIoTはシャープが作った造語。「AI(人工知能)」と「IoT(Internet of Things)」を組み合わせている。
投入の背景としては、SMART CONSOLEのターゲットとなる中小規模の施設における、人的リソースや業務リソースの不足、昨今の物価高・燃料コスト高がある。こうした施設では、特定の業務に対して専任者をなかなか置けず、コストの影響も大きい。加えて、夏の屋内で熱中症にかかって亡くなった人のうち、90%以上の人がエアコンを動かしていないというデータもある(東京23区内)。こうした点を踏まえ、基本的には一般家庭向けのエアコンと空気清浄機を用いて、設置場所の温度管理や空気質の管理を手軽に行えるSMART CONSOLEを提供する。
導入する上でのメリットは、専用の機器、ソフトウェア、配線、システム導入工事などが不要なこと。SMART CONSOLEで利用するエアコンと空気清浄機はWi-Fi(無線LAN)機能を搭載しているため、既存のWi-Fi設備に接続してSMART CONSOLEを始められる(必要に応じて無線LANルーターなどは導入する)。
SMART CONSOLEが想定するのは、2部屋~60部屋くらいの施設。シャープによると、介護施設でもっとも多いのは50部屋~60部屋の建物、カラオケ店は20部屋~30部屋とのこと。SMART CONSOLEで運用するエアコンと空気清浄機の台数に上限はない。
エアコンと空気清浄機はクラウドを通じて一括管理。各種の操作は専用のWebページを使う。パソコンやタブレットのWebブラウザーでアクセスできるため、扱いやすい。画面では、設置場所の温度や空気の質を集約し、専用Webページでグラフィカルに表示する。
例えば、ある部屋の温度が高くなると、画面上では赤く表示され、強運転にしたり設定温度を下げたりできる。先行して導入した介護施設では、「入居者のリモコン操作ミスを遠隔でフォローできた」「一覧表示で温度の高い部屋が分かるので室温調整に役立つ」といった声が寄せられているという。基本的な費用(税別)は、初期費用として1企業(または1施設)で128,000円、月額費用としてエアコンおよび空気清浄機の1台につき580円。