NTTドコモが運営するモバイル社会研究所は2月27日、2022年11月に実施した親と子に関する調査から、小中学生のスマホ所有開始についてのデータとその分析を公開した。公表されたデータによれば、所有開始年齢の平均は10.6歳で昨年と変わらず、低年齢化が鈍化しているという。

スマホ/キッズケータイともに所有開始年齢は前年と変わらず

小中学生のスマホ/キッズケータイの所有開始年齢(平均)の経年変化をまとめたのが次のグラフ。全体のスマホ所有開始年齢は10.6歳、キッズケータイ所有開始年齢は8.1歳。前年までは低年齢化が進行していたが、今年はともに前年の調査から変わらないという結果になった。

  • グラフ:小中学生のスマホ・キッズケータイ所有開始年齢の経年推移

    小中学生のスマホ/キッズケータイ所有開始年齢の経年推移

これまでは女子のほうが低年齢からスマホ/キッズケータイを持つようになる傾向があったが、スマホではその差が縮小。キッズケータイでは、男子のほうが低年齢から所有し始めるという結果になっている。

ただしこの数年は、コロナ禍の影響があった時期。1月に公表された小中学生のスマホ所有率/利用率についても伸びの鈍化傾向が見られたように、コロナ禍の影響で低年齢化の進行が抑制された可能性がある。

スマホは中学入学前後、キッズケータイは小学校入学前後が所有開始のピーク

平均10.6歳というスマホ所有開始年齢を詳細にみたのが次のグラフ。小学校高学年となる10~11歳から増え始め、最頻値は12歳。中学入学前後にスマホを持つようになるケースが多いようだ。

  • グラフ:小中学生のスマホ所有開始年齢

    小中学生のスマホ所有開始年齢

次のグラフはキッズケータイの所有開始年齢の詳細。こちらのピークは7歳で、小学校入学がきっかけだろう。12~13歳でキッズケータイを使い始めるというケースもわずかながらあるようだ。

  • グラフ:小中学生のキッズケータイ所有開始年齢

    小中学生のキッズケータイ所有開始年齢

子供にスマホを持たせる理由は小中学生とも「緊急時の連絡」が最多

最後は、子供にスマホを持たせている理由について。小学生の場合は「緊急時の連絡」が多く、全体として6割の保護者が理由として挙げている。それに次ぐのが「いる場所の把握」「塾や習い事に通い始めた」となっており、親が子供を心配してスマホを持たせている実態がうかがえる。「子供が欲しい」は全体の4分の1程度。スマホをほしがっている子供はこれよりも多いと思われるが、子供がほしがるからという理由でスマホを持たせる親はそれほど多くないようだ。

  • グラフ:小学生からスマホ持たせている理由

    小学生からスマホ持たせている理由

なお、先に所有開始年齢の経年変化を紹介した際にコロナ禍の影響を指摘したが、コロナ禍の親・子の行動の変化により、「緊急時の連絡」「いる場所の把握」の必要性も影響を受けていると思われる。子供の外出の減少や親の在宅勤務の増加により、子供の見守りを理由としてスマホを持たせる必要は低下していると考えられ、コロナ禍の影響が低下するとスマホ所有開始年齢が再び低年齢化に転じることもありうるだろう。

そして中学生にスマホを持たせる理由が次のグラフ。「緊急時の連絡」がもっとも多いのに変わりはないが、「子供が欲しい」「進学または進級」「友達が持ち始めた」といった理由がそれに迫るようになっており、中学生にもなると子供がスマホをほしがるのに応えてあげざるをえないという状況がうかがえる。

  • グラフ:中学生からスマホ持たせている理由

    中学生からスマホ持たせている理由

調査概要

  • 調査名:2022年親と子の調査
  • 調査方法:訪問留置調査
  • 調査対象:関東1都6県・小学生及び中学生とその親
  • 有効回答数:500件
  • サンプリング:QUOTA SAMPLING、性別・年齢(5歳刻み)・都道府県の人口分布に比例して割付
  • 調査時期:2022年11月