日本テレビ系ドキュメンタリー番組『NNNドキュメント’23』(毎週日曜24:55~)では、安倍晋三元首相銃撃事件を検証する『シリーズ(2)安倍元首相銃撃事件 あなたは神の子』(読売テレビ制作)を、きょう26日に放送する。
7月8日の事件後、民間団体が実施した“宗教2世”の実態調査で、親の信仰により生活面で様々な影響を受けてきた1,000人以上の子どもたちの切実な意見が浮き彫りとなった。「子供でも親や教団から安全に離れられる制度が欲しい」「社会問題を起こした宗教団体への解散命令や法人格の取り消し」「脱会した・したい信者のための自助グループの希望」など、宗教に関連した何らかの社会的な改善を求めていることが明らかになった。
高橋みゆきさん(仮名・20代)は、両親が旧統一教会の合同結婚式で出会い生まれた“祝福2世”。幼い頃から教会や礼拝に通い、両親の教えに従いに生きてきた。しかし中学進学の頃、教義に疑問を持った。“自由恋愛”ができず、“断食”の強要など精神的な苦痛の数々。安倍元総理の事件を受けて、「#宗教2世に信教の自由を」という言葉をテーマに署名活動を開始したところ、7万筆以上の署名が集まり、厚生労働省などに提出した。子供時代はもう戻ってこない、ならばせめて「今苦しんでいる子ども親や教団から安全に離れられる制度をつくるべき」だとの思いからだ。
もう1人、高知県に住む橋田達夫さんは(65)は2年前、宗教2世である36歳の長男を失った。元妻が旧統一教会に入信したのは、長男が小学1年生のとき。2人の息子は、母の韓国での修練に同行し、家庭は、高額な献金などが重なり崩壊の一途をたどった。自ら命を絶った長男が亡くなる前に「お父さんごめんね、ごめんね…」と話していた姿が脳裏から消えないと語る。
韓国で新興宗教を研究する卓志一(タク・ジイル)教授は、親子2代で韓国基督教の牧師であり、旧統一教会の問題点を研究してきた。卓教授は旧統一教会2世の貧困問題は、献金ノルマが厳しい日本特有の事例だと指摘する。
事件を受けて、旧統一教会の被害者救済法が12月に成立した。しかしあくまでも宗教の献金にまつわることだけだ。高額献金だけでなく家庭崩壊、という深刻な現実から子どもを救う方法はないのか。語り始めた彼ら、そして家族の言葉から、身近にいるであろう「宗教二世」の救済の道を探る。