CP+2023のコシナブースでは、同社が扱うすべてのレンズが展示され、カウンターでそのレンズを試用できるようになっていました。多くの来場者が愛用のカメラを持ち寄り、好きなレンズを試す姿が。なかでも、CP+2023向けに参考出品として発表された4本のレンズが注目です。
コシナは、フォクトレンダーとツァイスブランドのレンズを取り扱っており、その数はとても多くなっています。ライカMマウント互換のVMマウントに加え、さまざまなマウント向けのレンズを用意しているのも特徴です。
そのため、ブースではズラッと並べたレンズが壮観。そのレンズはカウンターにも実機があり、好きなレンズを告げれば係員がレンズを出してくれるので、その場で試用して撮影データを持ち帰れます。
フォクトレンダーでは、VMマウント、Eマウント、マイクロフォーサーズ、Xマウント、Zマウントと幅広くサポート。ツァイスブランドはキヤノンEF、ニコンFマウントに対応したOtus、Milvus、Planarのレンズ群、そしてZMレンズが用意されています。
CP+2023で参考展示されていたのが、フォクトレンダーブランドの4本のレンズで、初めてのキヤノンRFマウントレンズとして「NOKTON 50mm F1 Aspherical RF-mount」が登場。同時に、富士フイルムXマウント用に「NOKTON 35mm F0.9 Aspherical X-mount」と「ULTRON 27mm F2 X-mount」、ニコンAi-Sマウント用にSLIISシリーズ「NOKTON 55mm F1.2 SLIIS」が発表されており、これも同様に展示されていました。
注目はRFマウント用のNOKTON 50mm F1です。フォクトレンダーのフルサイズ用交換レンズとしては最も明るいF1を実現。MFレンズですが、電子接点を搭載しているのもポイントです。絞りはメーカー連動式、動画対応の絞りクリックの切り替え機構も備えているそうです。
初のRFマウント用レンズということでまずは標準レンズから、ただそれだけではつまらないので、明るいレンズを作りたかった、と話すのは同社の営業・管理部商品宣伝広告担当係長の佐藤和広氏。コシナは研削非球面(GA)を自社製造できる環境が整ったことから、自社技術を活用してF1のレンズを開発したそうです。
NOKTONの50mm F1レンズは、VMマウントとニコンZマウント用にも存在しており、光学系自体は同じものとのことですが、「メーカーごとにセンサー内のガラスの厚さが異なっており、キヤノンに最適化した設計にしています」(佐藤氏)とのこと。
光学系が同じとはいえ、外観デザインはRFマウントに合わせてガラリと変えているのも特徴です。ローレットの形が異なるほか、レンズ表記の指標にもRFマウントは赤、Zマウントは黄のカラーで変えています。それぞれのボディに合わせて、ユーザー層も考えてボディとのバランスを想定したデザインにしているそうです。
このレンズを皮切りに、RFマウント用レンズも増やしていきたいとの考えで、どういったレンズを開発するかは、CP+のようなイベントで利用者の声を聞いて検討していくそうです。
ちなみに、Zマウント用の50mm F1と比べて、同じ光学系でもレンズ同士の間隔をマウントごとに変えているとのこと。特にセンサーのガラス面の厚さやローパスフィルターの有無でも周辺画質に影響するため、レンズ間隔で補正しているのがこだわりだといいます。
同社には「APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical」のように、「マウントアダプターは利用できるけれど、Mマウントカメラ用センサーに最適化しているので、本来の光学性能は発揮できない」と明言しているレンズがあります。これは、こうしたこだわりによるものです。
そうしたことから、「光学本位」の考えで幅広いマウントに対応したレンズを用意していくというのが同社のスタンスです。同時に、マウントアダプターの利便性も承知していることから、両面からレンズの楽しみを体験してほしいと佐藤氏は話します。「(レンズ)沼にみんなで入って楽しみましょう」と佐藤氏は笑います。
参考出品されていた4本のレンズは、ブースのカウンターで試用できるようになっており、完成度は高い状態なのですが、発売にはもう少し時間がかかるようです。ただ「来年というほど先ではない」(佐藤氏)そうです。