「物件買取プロ」はこのほど、現在仕事をしている男女507人を対象に「ホワイト企業だと思う職場の特徴に関する意識調査」を実施し、そのデータをランキングにした。
ホワイト企業とは「労働環境が良く、働きやすい企業」の総称。就職・転職するならぜひホワイト企業に入社したいものだ。
しかし「どうやってホワイト企業を見分けたらいいのかわからない」という人も多いのではないだろうか。
今回の調査は2022年12月27日〜2023年1月6日、現在仕事をしている507人(男性255人/女性252人)を対象に、インターネットによる任意回答にて実施。回答者の年代は、10代 0.2%/20代 19.5%/30代 35.7%/40代 30.6%/50代 12.0%/60代以上 2.0%だった。
現在仕事をしている507人に「自分の会社をホワイト企業だと思いますか」と聞いたところ、「思う」「まあ思う」が合わせて61.9%だった。
「自分はホワイト企業で働いている」「今の職場はそこそこ働きやすい」と感じている人が多いとわかった。働き方改革などで、労働環境・職場環境の改善に取り組んでいる企業が多いのかもしれない。
「自分の会社をホワイト企業だと思う理由」については、以下のようなコメントあった。
<自分の会社をホワイト企業だと思う人の理由>
・「労働者の不満を聞き入れて改善してくれるからです」(22歳 女性)
・「とても雰囲気が良く、上司がいつも「早く帰って子どもの顔を見たいから、定時であがれるように頑張ろう」と叫んでいます。また男性職員でも育休を取得している方がいます」(37歳 男性)
・「残業が少なく、ワークライフバランスが取れていると感じるため」(40歳 男性)
・「有給休暇はもちろん、育休や産休もとりやすい。時短勤務や在宅勤務も積極的に取り入れてくれるから」(46歳 女性)
・「フレックスタイムやリモートワークが推奨されている。またオンブズマンの制度がきっちり機能しており、ハラスメントも厳重に処分される」(57歳 男性)
「ワークライフバランスがとりやすい」「柔軟な働き方ができる」などの回答が寄せられている。「働きやすい労働環境を実現するための制度の充実ぶり」や「プライベートも大切にする雰囲気」に満足している人が多いとわかる。
ただし、企業は人の集まりなので、まったく問題が起きないとは考えられない。そのため「会社が従業員の意見を大切にし、改善に努めてくれる」「相談窓口がある」など、問題が起こったときの対応を評価している人もいた。
<自分の会社をホワイト企業だと思わない人の理由>
・「携帯電話の支給がなく、個人用スマホの使用を強制される。また退職者が多くて社員の平均年齢が低いため、未熟なまま重要な役職を任されてしまう」(26歳 男性)
・「給料が安いのと、有給消化率も低いので」(35歳 女性)
・「仕事があれば土日関係なく仕事になり、早朝出勤や残業をしても手当が出ません。土日の仕事が「当たり前」のような感じで、仕事と私生活の区別がまったくありません」(41歳 男性)
・「休みが少なく、勤務時間が長い」(47歳 男性)
・「コンプライアンスが守られていないし、ハラスメントはあるし、給料も仕事量の割には少ないので」(53歳 女性)
一方、「自分の会社をホワイト企業だと思わない理由」では、「残業や休日出勤が多い」「給料が安い」などの回答が寄せられた。
厳しい労働環境で働いているのに給料まで安いと、耐え切れなかったり不満を感じたりして、辞めてしまう人も多いことだろう。
また「求人広告と実際の仕事内容が違った」「会社側とのコミュニケーション・情報共有ができない」など、会社を信頼できないと感じている人も多数。会社や上司に不信感をもちながら働くのは、精神的にもツラいところだ。
「ホワイト企業だと思う職場の特徴」を聞いたところ、1位は「休みが多い・休みやすい(137人)」だった。
2位「残業なし・少なめ(120人)」、3位「残業代がきちんと支払われる(100人)」、4位「福利厚生が充実している(83人)」、5位「満足できる給与がもらえる(80人)」と続く。「休みやすさ」「残業の少なさ」など、「オンオフのつけやすさ」を挙げた人が多くなった。
また「残業代がちゃんと出る」「満足できる給料」など、金銭面の満足度を挙げた人も目立っている。
<1位 休みが多い・休みやすい>
・「年間休日数が多い」(28歳 男性)
・「有給休暇消化率100%」(35歳 男性)
・「週休二日制で、お盆休みや正月休みなどの休みがキッチリとれるところ」(50歳 女性)
有給休暇があっても「実際には取りにくい雰囲気」という企業もある。しかしホワイト企業といわれる企業では、有給休暇取得を促進する声掛けがされていることも。休みの多さは「年間休日数」、有給休暇の取りやすさは「有給消化率」で調べられる。
<2位 残業なし・少なめ>
・「過度な残業や休日出勤がない」(23歳 男性)
・「ほぼ定時で帰れるところ。『締め日だから』と時間ギリギリまで職場にいるよう強要しないところ」(36歳 女性)
・「普段は定時で帰れること。忙しいときもたまにはあってもよいが、最長1カ月まで」(48歳 男性)
ホワイト企業でも繁忙期やトラブル時などには残業が発生するだろう。しかしホワイト企業では「家庭の事情で残業が難しい場合には、残業を強制しない」などの配慮がある。
「無駄な残業をしない」という雰囲気があるので、「月末だからなんとなく帰りにくい」「上司や先輩が残業しているから帰りにくい」などと気をつかうこともない。
<3位 残業代がきちんと支払われる>
・「残業代が全額出る」(23歳 女性)
・「残業代が1分単位で支払われる」(35歳 男性)
・「サービス残業がなく、しっかりと労働の対価を支払える会社」(45歳 男性)
いわゆるブラック企業での勤務経験がある人からは「残業が多いのに残業代が支払われない」という声を聞く。しかしいわゆるホワイト企業では、残業代は全額きちんと支払われる。
「みなし残業」を採用している企業でも、ホワイトであれば、設定時間を超過した分はきちんと残業代が支払われるはずだ。
<4位 福利厚生が充実している>
・「正社員だけでなく『アルバイト』『パート』『契約社員』にもしっかり福利厚生が適用される会社」(27歳 女性)
・「充実した福利厚生が整備されている会社」(43歳 男性)
・「福利厚生施設の完備」(51歳 男性)
福利厚生には法律で定められた社会保険などの「法定福利厚生」と、企業が独自に導入している「法定外福利厚生」がある。法定外福利厚生の例は「住宅手当・家賃補助」などの各種手当て、「育児・介護休業」「社員食堂」「スキルアップ支援」といったものだ。
使いやすい福利厚生が充実していれば従業員の働きやすさ・満足度が高まるため、「福利厚生がホワイト企業の条件」と考える人も多くなった。
<5位 満足できる給与がもらえる>
・「仕事量に見合った報酬がある」(22歳 女性)
・「毎年昇給があるのと、手当がつくところ。やはり給料面の待遇がいいとホワイトだと思う」(35歳 男性)
・「基本給が高い」(41歳 男性)
具体的には「基本給が高い」「昇給がある」「ボーナスがある」など。単に給料が高ければいいのではなく、「仕事に見合ったお給料を払ってほしい」という声も目立った。仕事に見合った給料をもらうためには、適切で公平な評価制度も必要だ。
<6位 人間関係がよくハラスメントがない>
・「人間関係が良く、連携が取れている会社」(34歳 男性)
・「罵声が飛ばない」(41歳 男性)
・「人間関係が良好で、ハラスメントがない」(37歳 女性)
人間関係がいいと、わからないことがあるときに質問しやすかったり、トラブルが起きたときに自然と助け合えたりする。そのため仕事がスムーズに進みやすいメリットがある。
一方で、人間関係が悪くハラスメントもある職場では、安心して仕事ができない。人間関係やハラスメントが原因で、退職してしまう人もいることだろう。
<7位 コンプライアンス意識が高い>
・「労働基準法に則って従業員を勤務させている」(35歳 女性)
・「労働組合が常に会社を見張っており、コンプライアンス違反がない会社」(48歳 男性)
・「まともな社則があり、機能している会社」(50歳 女性)
コンプライアンスとは、「法律」「就業規則」「常識や道徳」を遵守すること。「コンプライアンスを意識し、研修や通報制度を設けているのがホワイト企業」と答えた人も多くなった。
ただ、研修や制度があるだけでは「かたちばかり」になっている可能性もあるため、制度がきちんと機能しているかを重視している人もいた。
<8位 意見を言いやすい>
・「おかしいと思うことを忖度なく意見できる会社」(35歳 女性)
・「社内の風通しがよく、社員の意見が反映される会社」(59歳 女性)
・「上司と部下の意思疎通が十分なされている、風通しのよい職場環境」(69歳 男性)
トップダウンで社員の意見を受け付けない雰囲気の職場では、誰しも委縮してしまう。「業務改善したい」「労働環境がよくなるよう提案したい」「ハラスメントを訴えたい」と思っても、なかなか口に出せず、不満が募ることもあることだろう。
そのため社員同士あるいは社員と経営層の信頼関係があり、意見を出しやすい雰囲気の会社を「ホワイト企業」と考える人も多くなった。
<9位 ワークライフバランスがとれる>
・「ワークライフバランスの充実に力を入れている会社です。在宅勤務がいまより多くなったらうれしいです」(27歳 男性)
・「自分の時間を大事にできるのがホワイト企業だと思います」(37歳 女性)
・「ワークライフバランスを考慮した取り組みに積極的なところ」(39歳 男性)
「就業時間中は集中して働き、帰宅後や休日はプライベートを大切にできる職場がホワイト企業」と答えた人も多数。「リモートワークやフレックスタイムの推進」など、柔軟な働き方を実現するための取り組みを評価している人も多くいた。
<10位 社員を大事にしている>
・「社員をいかに大切にしているかだと思います」(20歳 男性)
・「社員を大切に扱う」(32歳 女性)
・「社員の幸せを一番に考えている会社」(58歳 女性)
具体的には「顧客満足度だけではなく、社員の満足度も重要視している」「教育制度が充実しており、社員を育ててくれる」「社員個々の事情に配慮がある」といった社風を指すのだと思われる。ホワイト企業を一言で表すとすれば、この回答に集約されるのかもしれない。
今回の調査では、ホワイト企業の特徴としては「休みが多い」「残業が少ない」などが寄せられた。単に「働きやすい労働環境を実現する制度」があるだけではなく、実際に制度を利用できる雰囲気・声掛けがあることを重視する人も多くなっている。
求人票では「有給休暇・特別休暇があります」「年間休日が多いです」と謳いながら、実際には休みをとれる雰囲気ではない「ブラック企業」も多いからだろう。
求人票だけで「ホワイト企業か」を判断するのは難しい。そのため、転職・就職活動時には、口コミや転職エージェントからの情報を参考にするのがおすすめだ。
なおネットの口コミを参考にする場合は、嘘や間違いも多いことを念頭に置くべきだろう。