有料動画配信サービスの「U-NEXT」と「Paravi」(パラビ)が、3月31日付で経営統合することに合意。U-NEXTを存続会社とし、Paraviは2023年7月をメドにU-NEXT内に移管してサービスを継続する。今回の統合により、単純合算で売上高800億円以上、有料会員数370万人以上、配信コンテンツ35万本以上を擁する、国内勢で最大の動画配信プラットフォームが誕生する。
U-NEXTを運営するU-NEXTと、Paravi運営元のプレミアム・プラットフォーム・ジャパン(PPJ)が、2月17日開催の取締役会において今回の経営統合に合意した。U-NEXTは「国内No.1プラットフォームを目指すうえで、戦略的なシナジーを生み出せるパートナーだと双方判断した」と、今回の合意に至った理由を説明。また、「ネット系と放送系それぞれの動画配信大手の統合は国内初」としている。
U-NEXTでは、7月をメドにしたParaviサービスの移管以降、U-NEXTの月額プランでParaviコンテンツが楽しめるようになるほか、「今後シナジーを生かしたさらに強力なラインナップを届ける」という。
Paraviについては、現在提供しているコンテンツは6月末まで、現行のアプリやWebブラウザから引き続き視聴可能。7月以降は当面、現行の料金のままParaviとして提供しているコンテンツに加えて、U-NEXTのコンテンツも視聴できるようにする(一部対象外のジャンルがある)。なお、Paraviの利用規約およびプライバシーポリシーについては4月1日以降、提供主体がPPJからU-NEXTへ変わり、引き続きユーザーに適用されるかたちとなる。
新プラットフォームはネット系と放送系のそれぞれの強みを活かし、引き続き他の放送会社、IT・ネット企業とも協力・連携するオープンな方針のもと、日本の優れた映像文化の発展に寄与するよう努めていく。
U-NEXTとParaviの統合の詳細
U-NEXTとPPJが経営統合することにより、さらなる事業価値の向上が見込まれるとの結論に至ったため、2月17日付で、U-NEXTとTBSホールディングス、TBSテレビ、テレビ東京との間でそれぞれコンテンツ調達やマス向けプロモーション等に係る協業内容を定めた業務提携契約を、また、U-NEXTと電通、博報堂DYメディアパートナーズとの間で、それぞれ動画配信プラットフォームを活用した広告等に係る協業内容を定めた業務提携契約を締結した。
U-NEXTは2007年に「GyaO NEXT」としてサービスを提供開始した、国内におけるSVOD(定額制動画配信)サービスの先駆者。映画やアニメ、欧米・韓流ドラマ、ライブ配信などに強みを持つほか、雑誌約180誌が読み放題など豊富なコンテンツを取りそろえる。
PPJは2017年7月に設立され、2018年4月にParaviをスタート。TBS、テレビ東京やそれぞれの系列局の先行・見逃し・アーカイブ配信、オリジナル作品を中心とする日本最大級のドラマ・バラエティのラインナップを特長としている。
U-NEXTでは、今回の統合で両サービスの強みが相互補完されることにより、より充実したコンテンツ編成が可能となり、ユーザーの視聴満足度をさらに高められるとする。また、外部コンテンツの調達力やオリジナルコンテンツの企画・制作力を大幅に高めることにもつながるとしている。
プロモーションやマーケティング面でもさまざまな相乗効果が期待できるとしており、「放送を使った強力なマス広告と、ネット上でのきめ細かいデジタル広告、さらにU-NEXTが提携する映画館や家電量販店などのリアル店舗網を組み合わせることにより、コンテンツのPRや顧客獲得の機会を最大化できる」とコメント。また、両社の開発リソースを使い、ARやVRなど新技術を活用した新たなサービスの開発にも取り組む。
経営統合の手順については、まずPPJと、U-NEXTの株主であるUSEN-NEXT HOLDINGS(UNHD)が3月31日付で株式交換を実施。これにより、UNHDはPPJの全株式を取得し、PPJの株主であるTBSホールディングス、日本経済新聞社、テレビ東京ホールディングス、WOWOW、電通グループ、博報堂DYメディアパートナーズなどがそれぞれUNHDの株式を取得する。
続いて、同日付でU-NEXTを存続会社とし、PPJとU-NEXTが合併。統合した新生U-NEXTは3月31日に発足する。この合併後、新生U-NEXTはTBSホールディングスと博報堂DYメディアパートナーズを第三者割当増資引受先とした、第三者割当増資を実施。これにより、TBSホールディングス及び博報堂DYメディアパートナーズは新生U-NEXTの株式を4月1日に取得することになる。