インテルが日本時間2月16日に発表したIntel Xeon Wプロセッサー W-3400/W-2400シリーズ。Sapphire Rapidsベースで待望のワークステーション向けCPUです。また一部エンスージアストユーザーからは、Intel Core Xに替わるハイエンドデスクトップ(HEDT)向けとしても期待されています。正式発表を受けて細かい資料が公開されたので、製品SKUをはじめ、発表時点ではわからなかったスペックや機能をまとめておきたいと思います。
・参考記事:Intel、Xeon W-3400/W2400シリーズ発表 - ワークステーション向けSapphire Rapids(2023/2/16 AM2:00 掲載)
https://news.mynavi.jp/article/20230216-2593294/
まずはシリーズの差ですが、W-3400シリーズはExpert Workstation用としてw9/w7/w5があり計7SKU、W-2400シリーズはMainstream Workstaion用としてw7/w5/w3があり計8SKUで販売開始されます。
製品のラインナップは、W-3400がw9/w7/w5、W-2400ではw7/w5/w3のブランドで構成されています。今回のXeon Wにはサーバー用と異なりアンロック版が提供され、より性能を重視することができるようになっており、w9は全製品、w7/w5は2製品を除きアンロック版あり。w3はすべてアンロック不可となっています。
W-3400とW-2400でPCI Expressとメモリのチャネル数が大きく異なります。W-3400はPCI Express 5.0×112レーン、メモリが4800MT/sのDDR5 RIDIMMが8チャネル最大4TBまでのサポートに対し、W-2400はExpress 5.0×64レーン、メモリが4800MT/sのDDR5 RIDIMMが4チャネル最大2TBまでと削られています。
どちらもソケットはLGA4677で、DMI 4.0×8でW790チップセットに接続され、チップセットからPCI Express 4.0 16レーンが利用できます。
同時に発表されたいくつかのマザーボードを見ると、PCI Express 5.0×16レーンスロットが7本並んでいる製品もあります。ここでXeon W-2400を使うと、使えるスロットが制限されるでしょう。ASrockの方がTwitterの質問に答える形でTweet(該当ツイートへのリンクはこちら)していましたが、ASrockの「W790 WS」の外部スロットは5本あるものの、一本はPCI Express 4.0×16なのでW-2400でも全部使えるようです。
SKU表は下に示した通りですが、W-3400は$1,189~5,889で消費電力は270~350W、W-2400は$359~2,189で消費電力は120~225Wと記載されています(価格は1,000個発注時のもの)。しかしこの消費電力はProcessor Base Power、つまり定格消費電力であり、一番電力を必要とするXeon w9-3495XのMaximum Turbo Powerは420Wです。例えばGeForce RTX 4090と組み合わせて使おうなどと考えると、一体何ワットの電源が必要になるのか少し怖くなります。
今回発表されたW-3400/W-2400共に4SKUがアンロック製品で、チューニングのためにIntel Extreme Tuning Utility(Intel XTU)が提供されます。しかし、XTUを使って限界性能を引き出すとより高い消費電力となるでしょう。細かなスペックに関してはIntel ARCのXeon Wにも掲載されています。
・参考リンク:Intel ARC Xeon Wのページ
https://ark.intel.com/content/www/us/en/ark/products/series/125035/intel-xeon-w-processor.html
製品の詳細紹介の最初にワークステーションラインナップが3つ記載されており、今回のXeon Wを使用したExpet/Mainstreamの下はCore iプロセッサを使用したMobile&Entryが記載されていました。
が、最後にExpert Workstationでは足らないユーザー向けにサーバー用のXeonスケーラブルプロセッサのデュアルソケットを紹介していました。この辺はラインナップの層が厚いインテルならではの提案だと思います。
ちなみに性能ですが。プレスリリースにも書かれていましたが対象に同じコア数のXeon Gold 6258Rの2ソケットバージョンとも比較しており、それよりも良好なパフォーマンス。さらにSPECworkstaion 3と実環境として11のアプリケーションベンチマーク結果が示されました。
実環境ではMaxon Cinema 4D/Chaos vRay/Autodesk Mayaでのパフォーマンスアップはリプレースを考えたくなるほどの結果となっています。また、データサイエンティスト向けにPythonの数値解析モジュール/ライブラリのベンチマーク結果も良好な数値といえるでしょう。