本の要約サービス「flier」を運営するフライヤーとグロービス経営大学院は、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2023」
今回で8回目となる「読者が選ぶビジネス書グランプリ」は、その年に発売されたビジネス書のなかから、読者(ビジネスパーソン)が投票し、読者の視点で「有益だった」「実用的だった」と評価された本を選出するコンテストだ。
今回は2021年12月~2022年11月に刊行されたビジネス書のうち、出版社52社がエントリーした113冊に加えて、フライヤーとグロービス経営大学院が推薦した5冊を加えた118冊を選出。本発表会では、一般投票における受賞作品と、売上から選出した書籍に授与する特設賞作品が発表された。なお投票者数は前回比24%増、投票総数は前回比13%増と過去最高を記録したという。
総合グランプリ『佐久間宣之のずるい仕事術』
総合グランプリは、『佐久間宣之のずるい仕事術 』(佐久間宣之/ダイヤモンド社)が受賞。本書籍はビジネス実務部門とのW受賞となった。
著者の佐久間宣之氏はVTRで出演、「初めて書いたビジネス書で、このような賞をいただいて本当に嬉しいです。会社を独立した時、僕のSNSには若い方から中堅の方まで多くのサラリーマンの方からたくさんの悩み相談が寄せられていました。これを体系立てて本にしたら多くの人に役立つかなと思い書いた本です。幅広い人に受け入れられてこの賞にたどり着いたのは、一緒に仕事をしてきたスタッフの皆さんのおかげです。『佐久間の仕事は面白いから本を読んでみようかな』と思われるよう、本業を頑張っていきたいと思います」とコメントを寄せた。
イノベーション部門賞『リスキリング』
イノベーション部門賞を受賞したのは、『リスキリング』(後藤宗明/日本能率マネジメントセンター)。
「私自身、2018年から日本でリスキリングを広め始めましたが、海外のリスキリングが正しく伝わっていないと感じ、書籍で伝えようと執筆しました。リスキリングは将来の仕事に対する備え。これから企業と個人の生存戦略にも繋がるので、これからリスキリングに取り組む方々を、幸せな社会人生活が送れるようにご支援していきたいです」と著者の後藤氏は受賞の喜びを述べた。
マネジメント部門は『だから僕たちは、組織を変えていける』(斉藤徹/クロスメディア・パブリッシング)が受賞。
著者の斉藤氏からは「新しいチーム作りの本がこんなに支持されるとは、と書いた本人が一番びっくりしています。それだけ多くの方が今の組織の在り方や数字を追うことに悩んでいるのでしょう。この本では学び続けるチームを作るノウハウをギュッと体系化しました。諦めムードの職場をやる気に満ちたチームにしたい、そう願う人の希望の書になれば、これに勝る喜びはありません」と受賞のメッセージが届けられた。
政治・経済部門『22世紀の民主主義』
政治・経済部門は『22世紀の民主主義』(成田悠輔/SBクリエイティブ)が受賞。
著者の成田氏からは「ビジネス書ではないのにビジネス書グランプリに選んでもらい動揺しています」とコメントが。また編集担当のSBクリエイティブ・多根由希絵氏は「みな選挙や社会は興味ないと言われますが、実際は興味があったと分かったことは意義があったのかなと感じています」と書籍の反響について述べた。
自己啓発部門『言語化の魔力』
自己啓発部門は樺沢紫苑氏『言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える』(幻冬舎)。「悩み」をテーマとした理由について、樺沢氏は「コロナ禍での癒やしや助けになる本ができないかなと考えた時、"悩み"がテーマになりました。普段YouTubeで皆さんの悩みを毎日聞いているのですが、それを分析すると100個くらいに収束するんです。ほとんどの悩みに対応できる書籍が作れるのではないか、という仮説を元に作りました」と振り返った。
リベラルアーツ部門『13歳からの地政学』
リベラルアーツ部門は『13歳からの地政学』(田中孝幸/東洋経済新報社)が受賞。
「リベラルアーツは日本語で"教養"ということです。一見実用からは遠く感じますが、実は非常にビジネスパーソンに役に立つ知識です。この本は全ての世代に世界への興味の扉が開かれるようにと思い作りました。手に取っていただけたら本当にうれしいです」と田中氏からは喜びのコメントが寄せられた。
特別賞『生き方』『限りある時間の使い方』
また特別賞としてロングセラー賞・グロービス経営大学院賞の2賞を発表。ロングセラー賞は、発売から18年経ち、日本国内外で売れ続けている『生き方』(稲森和夫/サンマーク出版)。グロービス経営大学院賞は『限りある時間の使い方』(オリバー・バークマン、訳・高橋璃子/かんき出版)が受賞した。
受賞作品のキーワードは「迷いの中に差す光」
また会の締めくくりには、フライヤー 代表取締役CEO 大賀康史氏より受賞作品の総括も発表された。
「2022年という1年は『動』と『静』の側面がせめぎ合っていたように思います。ウクライナ戦争や元首相の銃殺事件、経済面では円安が進む一方で、コロナ禍も3年が経過して以前の日常が戻りつつあるタイミングです。ビジネスシーンも普段の生活でも、機敏に対応できる方もいれば、立ちすくむ方も多い状況ですが、『これからの未来を明るく生きたい』という思いは共通しているはずです。個人でも組織でも10年前の常識が通用しなくなっており、方針を定めることが難しくなっています。そのような時、本は私たちの地図や羅針盤になってくれるでしょう。そのような背景と受賞作の傾向から、今回の『ビジネス書グランプリ』のキーワードは『迷いの中に差す光』としました」(大賀氏)
なお、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2023」の受賞作品を展開するフェアが、2月16日より全国1,400店舗以上の書店にて順次開催される。