神戸大学は2月14日、65歳の神戸市民約1万1000人を対象に、肥満に合併する代表的な疾患である糖尿病、高血圧、脂質異常症の肥満度別の有病率と、普通体重に対して各疾患を有するリスクを検討した結果、各疾患の有病率は肥満度の上昇に伴い増加すること、および男性では普通体重に比較し肥満が進むと各疾患を有するリスクが増加するが、女性では糖尿病と高血圧のリスクが大きく増加する反面、脂質異常症のリスクは軽度の増加に留まることを明らかにしたと発表した。

同成果は、神戸大 医学部附属病院 栄養管理部の山田倫子特命助教/医師、同・大学院 医学研究科 健康創造推進学分野の田守義和特命教授らの研究チームによるもの。詳細は、英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載された。

肥満は万病のもとといわれるように、各種の疾患を招くことで健康寿命を短縮し、結果としてQOLの低下にもつながることが知られている。肥満に合併する代表的な疾患としては、糖尿病、高血圧、脂質異常症が挙げられるが、それらは動脈硬化を進展させ、脳卒中や心疾患といった生命を直接脅かす病気にもつながる。特に、日本人を含めた東アジア人は、軽度の肥満でも代謝異常を発症しやすいという特徴があるため、肥満にならないことが健康的な生活を送るためには重要とされているものの、その一方で、どの程度の肥満になれば、どういった疾患がどのくらい発症するのか、といった詳しい研究はこれまでほとんど行われてこなかったという。

また高齢者の入口である65歳という年齢においては、肥満を回避することが重要な一方で、サルコペニアやフレイルの原因となることから、肥満とは逆方向の低体重や痩せにも同時に注意を払う必要があるとされることから、研究チームは今回、65歳の神戸市民、約1万1000人を対象に糖尿病、高血圧、脂質異常症の肥満度ごとの有病率を明らかにすると共に、普通体重者と比較した時、肥満度別に疾患を有するリスクを検討することにしたという。