米Mozillaは、2月14日(現地時間)にFirefoxの新バージョンとなるWebブラウザ「Firefox 110」をリリースした。Firefox 109から4週間でのバージョンアップとなった。Firefox 109では、2023年1月31日にマイナーバージョンアップの109.0.1がリリースされている。109.0.1では、以下の修正が行われた。
- Windows版:一部の環境でレンダリングの低下を引き起こしたフォントスムージングの変更を元に戻した
- 多数の絵文字を含むページを読み込む際の不具合を修正
- 一部のエンタープライズ環境で、ページをロードするときに認証プロンプトが表示されない問題の修正
- 開発者ツールのインスペクターのイベントリスナーチェックボックスのサイズが一定でない問題の修正
このマイナーバージョンアップでは、セキュリティアップデートは行われなかった。したがって、今回は、109.0.1からのアップデートとなる。
Firefox 110のインストール
すでに自動アップデートが可能な状況になっているが、ここでは手動でアップデートする方法を説明したい。Firefoxメニューの[ヘルプ]→[Firefoxについて]を開くと更新が自動的に開始される。[再起動してFirefoxを更新]をクリックする(図1)。
アップデート後のFirefox 110は、図2のようになる。
新規に、Firefox 110をインストールする場合、FirefoxのWebページからインストーラをダウンロードする(図3)。
[今すぐダウンロード]をクリックし、保存したファイルをダブルクリックして、インストールを開始する(図4)。
画面の指示に従い、インストールを進めてほしい。以下では、新機能のいくつかを具体的に見ていこう。
Firefox 110の新機能
続いて、新機能であるが、以下のとおりである。
- Edge、Chrome、Safari以外にも、Opera、Opera GX、Vivaldiからブックマーク、履歴、パスワードをインポート可能に
- Windows版:GPUサンドボックスが有効に。ただし、一般的なX-Mouse Button Control(XMBC)ツールのバグにより、マウスホイールのスクロールが機能しなくなる場合がある。Mozillaは更新に取り組み中とのこと。当面の対策として、スクロールはXMBCを再構成することで復元可能である。グローバル設定で [カーソルの下でスクロールホイールスクロールウィンドウを作成する] オプションを無効にするか、Firefoxのカスタムプロファイルを使用している場合は [カーソルの下でスクロールウィンドウを無効にする] オプションを有効にする
- Windows版:サードパーティのモジュールがFirefoxに自分自身を挿入するのをブロック可能に。この結果、サードパーティのモジュールがクラッシュするなどの動作を防ぐことが期待される
- Date、time、datetime-local入力フィールドのクリアが、以下のショートカットで可能に
- macOS版:[Cmd]+[Backspace]および[Cmd]+[Delete]ショートカット
- WindowsおよびLinux版:[Ctrl]+[Backspace]および[Ctrl]+[Delete]
- macOSおよびLinuxでは、GPUで高速化されたCanvas2Dがデフォルトで有効に
- Windows、MacOS、およびLinuxでのWebGLパフォーマンスの向上
- Windows 10/11でIntel以外のGPUを使用してハードウェアでデコードされたビデオのオーバーレイを有効にし、ビデオの再生パフォーマンスとビデオのスケーリング品質が向上 インポート機能は、従来、Microsoft EdgeやGoogle Chromeからであったが、Opera、Opera GX、Vivaldiからもインポートが可能となった。
描画機能の向上も、今回のアップデートの注目点といえるであろう(新機能の最後の3項目が該当する)。
セキュリティアップデート
同時に行われたセキュリティアップデートであるが、修正された脆弱性はCVE番号ベース で19件である。深刻度の内訳は、4段階で上から2番目の「High」が10件、4段階で上から3番目の「Moderate」が4件、もっとも低い「Low」が5件となっている。
「High」では、
- iframeを使用した際に違反レポートがコンテンツセキュリティポリシーのリークを発生
- ブラウザでのフルスクリーンモードにおける画面ハイジャック
- Firefox Focusでフルスクリーン通知が表示されない
- NSS経由でのPKCS 12を介した任意のメモリ書き込み
- SpiderMonkeyのコンパートメントの不一致によるメモリ解放後の使用の可能性
- SVGUtils::SetupStrokeGeometryでの無効なダウンキャスト
- Windowsでの印刷で、一部のデバイスドライバーでFirefoxがクラッシュする可能性
- mozilla::dom::ScriptLoadContext::~ScriptLoadContexでのメモリ解放後の使用
- Firefox 110、Firefox ESR 102.8で修正されたメモリ安全性の問題
- Firefox 110で修正されたメモリ安全性の問題
などが対応された。新機能については、それほど目新しいアップデートはなかったが、セキュリティアップデートが数が多い。早めのアップデートをすべきであろう。