今年の花粉は例年以上に注意が必要です。日本気象協会の予想によると、2023年春の花粉の飛散量は、前年を大幅に超える場所が多いとのこと。まだ花粉症ではない人も、今年から症状が現れる可能性があるので、しっかり対策を知っておきましょう。ということで、今回は花粉症の原因をはじめ、予防・対策方法について名古屋大学医学部附属病院の竹内 想先生に聞きました。

  • 花粉症のアレコレ医師に聞いてみた

■花粉症の原因

――花粉症はなぜ起こるのでしょうか? また、主な症状にはどんなものがあげられますか?

花粉症は、季節性アレルギー性鼻炎に分類されます。人間の体には異物に対して反応する仕組みがありますが、この反応が過剰に起こってしまうのが花粉症です。

具体的な症状としてはくしゃみや水様性鼻汁(水っぽい鼻水)・鼻閉(鼻づまり)・眼のかゆみや結膜充血などが代表的な症状としてあげられます。

■自分でできる予防や対策

――花粉症の予防・対策として自分でできることはなんでしょうか?

大前提として、花粉症は花粉によって引き起こされるわけです。完全に避けることはできないとしても、少しでも体に花粉が入らないようにする工夫が大切です。

基本的ではありますが、花粉情報をチェックして飛散の多い日にはなるべく外出を控えるようにしましょう。また、マスクやメガネを着用するのはもちろん、帰宅時には衣服や髪を払ってから入室する、洗顔やうがいを行うなどするとよいでしょう。

■治療法って?

――前述した対策をしていても、花粉症がツライことはありますよね。その場合、治療法としてはどんなものがあげられるのでしょうか?

標準的な治療方法としては内服薬(抗ヒスタミン薬/抗アレルギー薬)による内服療法や、点眼薬・点鼻薬による局所療法を行います。また、「鼻閉」いわゆる鼻づまりが強い場合には、レーザーなどによる手術療法が行われることもあります。

くしゃみや鼻炎が主症状の場合によく用いられる「抗ヒスタミン薬」は、第1世代・第2世代といわれる2つの種類に分類されます。特に第1世代に分類される薬では、副作用として眠気がでることがあるので、その点もよく理解しておきましょう。抗アレルギー薬である「抗ロイコトリエン薬」は、鼻粘膜の血流を改善する効果があり、主に鼻閉(鼻づまり)の症状がある場合によく使用されます。

点眼薬においても抗ヒスタミン薬が中心ですが、症状が強い場合はステロイド点眼薬が使用されることがあります。ただし、ステロイド点眼薬では眼圧の上昇に注意が必要です。また、鼻閉(鼻づまり)が強い場合は、点鼻のステロイド薬が用いられます。

■根本的に治療できるもの?

――花粉症は根本的に治療することはできるのでしょうか?

前述した治療は基本的に対症療法となるため、根治療法としては「減感作療法」というものが近年行われるようになってきています。

これを簡単に説明すると、花粉の抽出液を舌下に投与し、少しずつ体を慣れさせることでアレルギー反応を弱くするというものです。治療に長い時間がかかることがひとつの課題ではありますが、ここ数年ではオンライン診療の拡大もあり、これらの治療を受ける方が増えています。


ここであげた治療法は、あくまで一例。あなたの症状などを医師に相談し、適切なものを選ぶようにしてください。

今年の花粉は大量飛散の予測。すでに症状が出ている人も、そうでない人もどうか早めの予防や対策を心がけてくださいね。

監修者 : 竹内 想 先生


竹内 想 先生

名古屋大学医学部附属病院 所属
医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。現在は主に皮膚科医・産業医として勤務している。

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