「第77回毎日映画コンクール」の授賞式が14日に都内で行われ、受賞者が揃って登壇した。
同賞は毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社などが主催している映画賞。映画『ケイコ 目を澄まして』が日本映画大賞となり、女優主演賞(岸井ゆきの)、監督賞(三宅唱監督)のほか、撮影賞、録音賞にも輝いた。
同作でボクシングに挑戦した岸井はミット打ちも「ずいぶん練習しました。ボクシング自体は3カ月トレーニングして。1カ月くらいでコンビネーションミットが得意だということに気づいて、あとは追い込んでトレーニングしました」と明かす。撮影中も「"強くなりたい"の気持ち一つで、いい映画にしたい、強くなりたいという気持ちでやってました」と振り返った。現在国内の映画賞を席巻しており、岸井は「いろんな賞をいただけて、これからどうしようという気持ちはあるんですけど、いろんなアプローチができたら。パブリックイメージがないので、いろんなことに挑戦していけたらとは思っています」と意気込んだ。
この日は著書が作品の原案となった聴覚障害のあるプロボクサー・小笠原恵子も登壇。その場でパンチを披露すると、会場がどよめく。岸井は「すごい速くて軽くてかっこよかったし、今もボクシングを続けているので、ちょっと嫉妬しました」と称賛し、「ボクシングのトレーニングはずっと続けてます。ただ好きになりました」と新たな趣味も見つけたという。
また同作の評価について、三宅監督は「映画とは総合芸術だと思うんですが、やっぱりスクリーンの真ん中で輝く主演が素晴らしくないことにはこういった評価はいただけないと思うんですよね。映っている場面だけでなくても、岸井さんが本当に誠心誠意役に向き合ってくれたからこそ、結果として、映画全体を多くの方が受け止めてくれたのかなと。本当に岸井さんのおかげかなと思っています」と感謝していた。
第75回毎日映画コンクール 受賞結果
日本映画大賞:『ケイコ 目を澄まして』(三宅唱監督)
日本映画優秀賞:『夜明けまでバス停で』(高橋伴明監督)
外国映画ベストワン賞:『ベルファスト』(ケネス・ブラナー監督)
男優主演賞:沢田研二『土を喰らう十二カ月』
女優主演賞:岸井ゆきの『ケイコ 目を澄ませて』
男優助演賞:窪田正孝『ある男』
女優助演:伊東蒼『さがす』
スポニチグランプリ新人賞(男性):番家一路『サバカン SABAKAN』
スポニチグランプリ新人賞(女性):嵐莉菜『マイスモールランド』
監督賞:三宅唱『ケイコ 目を澄ませて』
脚本賞:早川千絵『PLAN75』
撮影賞:月永雄太『ケイコ 目を澄ませて』
美術賞:今村力、新田隆之『死刑にいたる病』
音楽賞:青葉市子『こちらあみ子』
録音賞:川井崇満『ケイコ 目を澄ませて』
アニメーション映画賞:『高野交差点』(伊藤瑞希監督)
大藤信郎賞:『犬王』(湯浅政明監督)
ドキュメンタリー映画賞:『スープとイデオロギー』(ヤン ヨンヒ監督)
TSUTAYAプレミアム映画ファン賞・日本映画部門:『チェリまほ THE MOVIE ~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~』(風間太樹監督)
TSUTAYAプレミアム映画ファン賞・外国映画部門:『トップガン マーヴェリック』(ジョセフ・コシンスキー監督)
田中絹代賞:寺島しのぶ
特別賞:中島貞夫(映画監督)