エスビー食品は2月6日、創業100年を記念する商品として70年以上の歴史と伝統を誇る"赤缶カレー粉"をスティックタイプにした「カレー粉スティック」を発売した。
「赤缶カレー粉」とは
エスビー食品は1923年創業。創業者の山崎峯次郎氏が洋食屋で食べたカレーに感動し、日本で初めて国産カレー粉の製造に成功したことから歴史は始まる。
日本初の国産カレー粉は当初業務用だったものの、1930年には瓶入りの初の家庭用カレー粉を発売。1933年には「赤缶カレー粉」の前身となる本格的なカレー粉「白缶カレー粉」が発売され、1950年には創業以来のノウハウの集大成となる「赤缶カレー粉」が発売された。
赤缶カレー粉は三十数種類のスパイスとハーブを独自の比率でブレンドしたミックススパイスで、まとまりのある芳醇な香りが特徴。カレー粉市場のシェアは驚異の72%を占めていることからも安定した人気がわかる。
赤缶のパッケージ背景を良く見ると国会議事堂のイラストが描かれており、これは当時「トップの建築物」と言われていた国会議事堂にあやかり、「赤缶もトップを目指したい」という思いがこめられている。
「赤缶カレー粉」をスティック状の個包装タイプに
そんな「赤缶カレー粉」は発売以来73年経った今もほぼ変わらぬパッケージと品質で愛され続けている。そして創業100周年記念商品のアイディアの社内公募から今回の商品が生まれることになった。
従来の缶タイプと異なり、スティック状の個包装タイプにすることで、いつでも開けたての香りが楽しめる良さがある。また、「カレー粉は使い切れない」「軽量が面倒」という声があったことから、使い切れる小さじ1ずつの個包装にした。多くのカレー粉を使用するレシピでは小さじ1という分量で使用することが多いことからこの分量になったという。
また、「カレー粉の使いかがわからない」という声も多かったことから、パッケージ裏面には赤缶スティック1本で作れるレシピを掲載している。
たとえば、最も手軽なのはコンソメスープに振りかけて飲むレシピ。コンソメとカレー粉を入れて手軽に作れるカレースープで、忙しい朝でも手軽に朝食として身体を温められる。
レシピには他にも「カレーナムル」「タコライス」「味噌カレー牛乳ラーメン」なんてものも。どれもカレー粉小さじ1杯で作れ、「カレー粉を買うのはスパイスからカレーを作る時くらい」というイメージを覆してくれる。
「赤缶カレー粉」が固形ルウより溶けやすい"パウダールウ"に
もうひとつの100周年記念商品は「赤缶カレーパウダールウ」。
赤缶カレー粉とパウダールウを融合した商品で、「本格的な美味しさ」と「使いやすさ」を兼ね備えているのが特徴。カレールウの中でも近年増えている「パウダールウ」タイプにすることで使用する油脂や小麦粉が少なくカロリー控えめ、鍋やお皿に油残りが少なく洗いものがラクになるのも魅力だ。
主原料には厳選した国産素材を使用しており、旨みは「国産牛の出汁」、甘味は「国産炒め玉ねぎ」、滑らかさは「国産米粉・国産おから粉」、厚みを出すために使用しているのは「信州みそ・枕崎産かつお節出汁・日高昆布出汁」がブレンドされており、スパイスの味がしっかりと感じられながらもなんともいえない奥深さのあるカレーに仕上がる。
さらに、従来のカレールウに比べ、2皿分からつくることが出来る小分けタイプなので、単身世帯でも使いやすいのが今の時代を反映させている。
通常非公開の「スパイス展示館」に潜入!
新商品発表会に合わせ、通常は社外には非公開の「スパイス展示館」を見学させてもらった。
「スパイス展示館」は創業者・山崎峯次郎とその妻山崎春栄の遺志により、スパイスの正しい啓蒙発・普及のために1984年に創設されたもので、2人の歴史や、エスビー食品の歴代商品などが展示されている。普段は社員研修用施設として使用されており、創業100 周年の今年、約40年ぶりとなる全面リニューアルが行われた。
入口には、にんにくが好物の鬼をまつる青森県「鬼神社」の分祀があり、これはエスビー食品が日本で初めてガーリックパウダーを販売したことから。
また、2階へと続く立派な階段は「創造の階段」と呼ばれるもので、これは山崎峯次郎氏の自宅から移築したもの。2階には山崎峯次郎氏・春栄氏の部屋が再現されており、スパイスの研究に励んだ頃の面影を感じることができる。
73年前に誕生した赤缶カレー粉は、より手軽に作れるように進化したものの、その美味しさは変わらず。家庭カレーの新定番となってくれそうだ。