「冬のヘッドフォン祭 mini 2023」が東京・中野サンプラザで2月10日に開催された。ここでは、Astell&Kernやカスタムイヤホンのqdc、新進気鋭のイヤホンブランド・Maestraudio(マエストローディオ)など各ブランドの製品を多数展示していた、アユートブースの模様を紹介する。
アンプのモード変更が楽しいオールインワン「ACRO CA1000T」
Astell&Kernコーナーの注目は、ヘッドフォン祭の前日(2月10日)に発表されたオールインワンオーディオシステム「ACRO CA1000T」(2月18日発売/36万9,980円前後)。ハイレゾプレーヤーとヘッドホンアンプを組み合わせたもので、バッテリー駆動も可能なため持ち運んで音楽を聴くことができる。
最大の特徴はオペアンプに加えて、KORG製のデュアルトライオード真空管 Nutubeを2基使用したフルバランス回路を装備し、「OP-AMPモード」「TUBE-AMPモード」、その両方を使った「HYBRID-AMPモード」を選択できる次世代アンプテクノロジー「トリプルアンプシステム」を搭載していること。HYBRID-AMPモードは2つのアンプの調整を5段階から選べるため、合計7つのモードを利用できる。
試聴の際にモード設定を変えながら音楽を聴いてみたが、OP-AMPモードではカッチリとした解像感の高い音なのに対し、TUBE-AMPモードでは広がりのある音響空間を感じられ、HYBRID-AMPモードでは両方のいいところ取りのようなサウンドが楽しめた。好きな曲に合ったモードを探したり、使うヘッドホンのキャラクターに合わせてモードを変えたりと、これだけでも色々と楽しめる斬新な機能といえるだろう。
DAC部にはESS Technologyの最新フラッグシップ「ES9039MPRO」をデジタルオーディオプレーヤーとして世界で初めて採用。さらに左右チャンネル独立のデュアルDAC構成をとっている。ハイレゾ音源はPCM 768kHz/32bit、DSD512(22.4MHz/1bit)に加え、MQA 16Xフルデコーダーにも対応する。
ヘッドホン出力は3.5mm、6.35mmのアンバランス出力端子と、2.5mm、4.4mmのバランス出力端子を搭載。ライン出力はRCAやミニXLR端子(3pin/ステレオ)バランスラインアウトを搭載。入力はUSB Type-C、同軸デジタル、光デジタル、4.4mm5極バランスを備えている。ヘッドホンアンプ部は、イヤホンからヘッドホンまで幅広く対応するため4段階のゲイン調整を搭載。最大15Vrmsの高出力が可能だ。
このほか、2月10日に発売されたばかりの3.5mm4極のアンバランス端子を備えマイク通話に対応したドングル型USB DAC「AK HC3」(実売30,980円)や、4.4mmバランス端子搭載のドングル型USB DAC「AK HC2」をベースにしたオリジナルデザインの限定カラーモデル「AK HC2 Midnight Blue」(同29,700円)、ブランド初のA級アンプ搭載のアナログポータブルアンプ「AK PA10」(国内発売予定)なども展示され、AKブランドのファンが多数来訪していた。
本邦初公開のユニバーサルイヤホン「FOLK」
カスタムイヤホンブランドのqdcコーナーでは、メーカー未発表で本邦初公開となるユニバーサルモデル「FOLK」が注目を集めていた。FOLKは、その名の通りフォークソングなどのアコースティックな音楽にフォーカスを当ててチューニングしており、中低域に温かみを感じるウォームなサウンドが特徴。試聴した限りでは、ボーカルが前に出やすく歌モノに適した音質だと感じた。
ドライバーはダイナミック型×1、BA型×1、プラナー(平面駆動)型×1のトライブリッド構成となっており、イヤホン端子は3.5mmアンバランス/2.5mmバランス/4.4mmバランスに切り替え可能な3in1プラグを採用している。
発売は2023年春を予定しており、価格は6万円前後になる見込み。カスタムバージョンも同時期に展開できれば、とのことだった。
開発途中の「MA910S」アナザーモデルが参考出展
イヤホンブランド・intime(アンティーム)で知られるオーツェイドが新たに立ち上げ、2022年から展開しているブランド「Maestraudio」からは、既発売のイヤホン「MA910S」の開発モデルが参考出展された。
MA910Sは10mm径グラフェンコートダイナミックドライバーとパッシブ型セラミックコートツイーターのハイブリッド構成を採用しているが、ドライバー構成はそのままに新たに4.4mmケーブルモデルやリケーブル対応モデルの開発を行っているそうだ。
発売時期や価格は未定だが、今後も音質のチューニングなどの改良を重ねながら商品化にこぎつけたいとのこと。