日本音楽著作権協会(JASRAC)とGoogleは、YouTube上でのJASRAC管理楽曲利用に関する新たな許諾契約を締結。JASRACは「音楽クリエイター、音楽出版社等の権利者へ正確な分配を図る」ため、YouTubeのシステム「Content ID」の活用を本格的に開始する。
Content IDはYouTubeの自動コンテンツ識別システムで、著作権で保護されたコンテンツをYouTube上で識別、管理するもの。YouTubeにアップロードされた動画は、著作権者によってYouTubeに送られた音声と映像のデータベースと照合され、Content IDで一致するものが見つかると、Content IDの申し立てが適用される仕組みになっている。
JASRACの管理楽曲が含まれていることがシステムで検知されると、JASRACによる「著作権の申し立て」の通知が動画投稿者に届くことがある。この通知に伴い、これまで広告が表示されていなかった動画にも、広告が表示されるようになる。広告収益の一部は著作物使用料として、JASRACを通じて楽曲の権利者へ分配されるとのこと。通知自体は「投稿者に著作権侵害を主張するものではない。動画を削除したり、非公開にしたりする必要はない」という。
なお、これまで収益化されていた動画においても、YouTubeパートナープログラムに参加している動画クリエイターは引き続き収益化が可能だが、その条件に変更が生じる場合があるとのこと。YouTubeにおける収益化の詳細は、自身とYouTubeとの契約およびYouTubeの収益化ポリシーなどで確認するよう呼びかけている。
JASRACとGoogleは2008年10月にパートナーシップを結び、YouTubeにアップロードされた動画に関する適切なライセンス環境を確保してきた。2023年現在、7,500万を超えるJASRAC管理楽曲がYouTubeで利用可能になっている。両者は新しい契約を通じて引き続き、動画クリエイターによる音楽利用の可能性を広げ、動画を視聴する多くの人が新たな音楽と出会えるようにしていくという。
ポール スミス氏(YouTube Music アジア太平洋地域 マネージングディレクター)のコメント
YouTubeは、クリエイターとアーティスト及び音楽著作権者が多くのファンと繋がる場としてYouTubeをご活用いただきたいと考えています。この度、JASRACとのパートナーシップにより、7,500万を超える楽曲をクリエイターが利用できる環境が整備され、また、権利者の皆様の収益源の多様化の一助とさせていただくことを心より嬉しく思います。今後も日本の音楽業界やアーティストへの支援を継続・拡大し、様々な楽曲を利用したクリエイティブな動画が制作されることを楽しみにしています。
鬼頭 武也氏(YouTube 音楽パートナーシップ 日本 ディレクター)のコメント
JASRACとのパートナーシップは、両者の誠実な協議をもちまして第5次の契約を迎えることができました。特に今回の契約更新に伴うJASRACとのContent IDの取組を通じて、継続して精度の高い楽曲利用特定と、音楽著作権者へのより透明性のある収益分配が実現していくことを嬉しく思います。