インターネットイニシアティブ(IIJ)は2月8日、2023年度3月期の第3四半期の決算を発表した。それによると、売上収益は前年同期比11.9%増の1,853.4億円、営業利益は前年同期比15.3%増の187.9億円、四半期利益は前年同期比11.6%増の128.5億円と、前期に引き続いての増収・増益となった。

  • 右から、決算を発表する鈴木幸一代表取締役会長兼Co-CEO、勝栄二郎代表取締役社長兼Co-CEO&COO、渡井昭久専務取締役兼CFO

売上面では、コロナ禍以降続いている国内企業のデジタル化推進が引き続き大きく影響している。セグメント別に見ると、同社の主力事業であるネットワークサービス事業が好調だったほか、システムインテグレーション(SI)事業やモバイル事業も増収増益に貢献している。

  • 第3四半期の連結業績サマリー。売り上げ、利益、いずれも10%以上の伸び率を示しており、非常に順調に推移している

モバイルサービスでは、法人向けモバイルサービスが成長を続けており、回線数で19.2万、売り上げも6.3億円増加している。個人向けモバイルサービスのIIJmioはJ.D.パワージャパン、オリコン、DCSIによる調査でMVNO部門の顧客満足度1位を獲得。回線数も前四半期比+1.9万となる119.7万回線を記録した。また、NTTドコモのデータ接続料で2021年度の単価が確定し、約5億円の返金があったとのこと。

  • モバイル・IoT事業の推移。法人モバイル、MVNE、個人モバイルいずれも順調に回線数を積み上げている

システムインテグレーション部門では自社開発のサービスが好調だが、自社開発のためにロイヤルティを支払う必要がなく、これが原価率を下げ、利益の向上に一役買っているという。また、放送局向けの情報ネットワーク基盤刷新や大手金融グループ向けシステム基盤、複数年に渡るネットワーク更改、海外でのデータセンター構築など、複数の大口案件を獲得しており、来期以降も引き続き増収増益が見込めるとのこと。

  • 左下にあるように大型案件が複数進行しており、来期以降も安定した売り上げを期待できそうだ

従業員数もエンジニアを中心に増加を続けているが、売り上げの好調もあり、社会的な情勢も鑑みて、2023年度採用の新卒社員は初任給を4.8%(学士卒の場合)増加する。その他の既存社員の給与に関しても改定していくとのこと。IIJは業界における規模や重要性の割に、就職戦線の人気ランキングではIT系に絞ってもあまり上位に入ってこない印象があるが、これが改善され、一層優れた人材が集まることを期待したい。