帝国データバンクは2月9日、「価格転嫁の成功理由に関する企業アンケート」の結果を発表した。調査期間は2023年2月3〜7日、有効回答は1,335社。
価格転嫁ができた理由、1位「原価を示した価格交渉」
自社の商品・サービスについて価格転嫁ができた理由を聞いたところ(複数回答)、コスト上昇の程度や採算ラインなど「原価を示した価格交渉」が最も多く45.1%。次いで「取引先への価格改定の通知」が28.7%、「業界全体における理解の進展」が25.8%、「日頃から発注者へのコストに影響しそうな情報共有」が24.2%となった。
企業からは「他社との差別化を進める機会と捉えている。実際に、差別化による恩恵を感じている」(園芸サービス)、「2022年の資材の高騰時から、お客さまに対し都度値上げ交渉をしている。また、見積有効期限を明確にし、常に仕入れ価格を意識しながら経営している」(特殊産業用機械機器具卸売)などの声が寄せられている。
業界別にみると、「製造」では、「原価を示した価格交渉」が63.7%と他の業界より高いことが判明。一方、「小売」では、「原価を示した価格交渉」は難しく2割程度だった。
2023年における自社の商品・サービスの値上げ予定(実績含む)について尋ねると(複数回答)、年度はじめでもある「4月」が42.8%で最多。以下、「1月」が28.1%、「5月」が26.5%、「3月」が20.6%、「2月」が20.2%と続き、1~5月に値上げが集中していることがわかった。
ただし、同調査では「調査時点での値上げの動向であるため、先行き不透明感が強まるなか、今後さらに値上げが行われる可能性もある」と指摘している。