ゼンハイザーは、有線ヘッドホン“HD 600シリーズ”の新製品として、“繊細な音の再現力はそのままに低域を豊かにした”という開放型ヘッドホン「HD 660S2」を2月21日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭価格は96,800円前後を見込む。
ゼンハイザーのHD 600シリーズは、HD 600、HD 650、HD 660Sと代を重ねており、新機種のHD 660S2はその系譜を継ぐ“伝説の第四章”と位置づける。自社開発の42mmトランスデューサー(ドライバー)を搭載し、低域の表現力を高めつつ「潤沢な低域と繊細な高域」の両立を追求。試行錯誤を繰り返しながら最適化を行ったとのこと。
開放型ヘッドホンのドライバーは減衰と低域シグナルが強いため、振動板をより多く動かす必要があり、ドライバーに搭載する振動板に柔らかさと柔軟性をもたらすことで可動域を上げることが求められる。開放型ヘッドホンでは、共振周波数以下では低域が落ちるため、HD 660S2では共振周波数自体を従来の110Hzから70Hzまで改善した。
具体的には、振動板にラミネート加工を施したDuo-Folテクノロジー振動板を採用し、ラミネートの厚みを調整することで柔軟性を向上。さらに中心部をアーチ状にして強度を上げ、その周りを波形状にして柔軟性を高める工夫をすることで、豊かな低域の創出に寄与している。
また、従来よりも細いアルミ線を使い、従来比で10%軽くなったボイスコイルを搭載することでマグネットパフォーマンスを最大限に引き出し、インパルスレスポンスを向上。繊細な音まで再現できるようにした。細いアルミを使うと組み立て難度が上がるが、「熟練のアイルランドファクトリーの高いクオリティでそれを可能にした」という。
独自のマグネットシステムとして、通気性の高いマグネットホールを採用。ドライバー内で起きる空気の乱れをなくし、歪みを抑え、振動板の動きの自由度を高めている。
精巧なデザインを施したステンレススチールメッシュを備えており、ボーカル帯域の歪みを抑制。厳しい品質管理のもとで作り上げたものを搭載し、ドライバー内の空気をコントロールして歪みを最適化、淀みのないサウンドを生み出すという。
こうした設計の刷新により、HD 660S2はHD 660Sと比べて20Hz周波数帯域の音圧レベルが2倍まで向上。20〜200Hz間の周波数は音圧が大きく増加したという。最低域の音圧を倍にすることで、高い精度とバランスでサブベース、ミッドベース、それ以上の周波数帯域を再現。「打楽器やエレクトロミュージックなどがより聴きごたえのあるものになる」とのこと。
外装にはブロンズ仕上げのブランドロゴをあしらっており、ヘッドバンドのロゴ表記をコンパクトにすることで「存在感を感じさせつつ主張しすぎない高級感あるデザイン」にまとめた。イヤーパッドはソフトパッドとベロアの組み合わせで、適度な側圧に頭にフィットする。
再生周波数帯域は8Hz~41.5kHz、感度は104dB(1kHz、1Vrms)、THDは0.04%以下(1kHz、100dB)。インピーダンスは300Ω。重さは約260g(ケーブルを除く)。ケーブルの長さは180cmで、3.5mm変換アダプタ、6.3mmステレオ標準プラグ(アンバランス)、4.4mm Pentaconnプラグ(バランス)のものが付属する。