AMR臨床リファレンスセンターは2月7日、「抗菌薬(抗生物質)の処方に関する調査」の結果を発表した。同調査は2022年11月~12月、全国の20歳~69歳の生活者400人を対象に、インターネットで実施した。
過去3年以内に、かぜ症状(発熱・のどの痛み・咳・鼻水・くしゃみ)で医療機関を受診して薬を処方された人に、処方された薬について尋ねた。処方薬の中に実際に抗菌薬が含まれていた人は全体で19.0%で、年代別に見ると60代が28.4%と最も多く、50代は12.4%と最も少なかった。
処方薬の中に抗菌薬が含まれていると思うかどうかを聞くと、49.3%が「含まれていると思う」、50.8%が「含まれていると思わない」と答えた。半数近くの人がかぜ症状で医療機関を受診した際に抗菌薬を処方されたと思っていたことがわかった。
年代別では「含まれていると思う」と答えた人が20代では58.3%、50代は41.2%と17.1ポイントの差が見られた。
処方薬に抗菌薬が含まれていると思うか、実際に含まれるかの一致について調べた。全体で認識が正しかった人は66.3%、認識が誤っていた人は33.8%だった。年代別でみると、一致率では60代が71.6%と最も高く、最も低かったのは20代(52.8%)で、20代では半数近くの人が誤認していることがわかった。
抗菌薬について正しいと思うことについて聞き、その上で誤解していることを調べたところ、最も誤解が多かったのは「抗菌薬はウイルスをやっつける」(40.0%)で、「抗菌薬はかぜ症状が治ったら早くのむのをやめる方がよい」(26.5%)、「抗菌薬は熱を下げる」(24.0%)と続いた。
同センターによると、「抗菌薬」は細菌による感染症の治療に用いられる薬で、不適切に抗菌薬をのむことで、薬が効かない薬剤耐性菌が出現するリスクが高まるという。抗菌薬は「処方された日数、用量を守って飲み切る」ことを守り、「かぜを早く治すことはない」「かぜやインフルエンザの熱を下げる効果はない」「のどの痛みに効果はない」「のんでもかぜの鼻水は止まらない」ことを理解することが大事とのこと。