ソフトバンクグループは2月7日、2023年3月期 第3四半期の決算説明会を開催しました。2022年4月~12月期の連結決算は9,125億円の赤字で、AI企業に投資するSVF(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)の苦戦が続いています。今回、孫正義会長は登壇せず、決算発表会のプレゼンはすべて専務執行役員CFOの後藤芳光氏が行いました。
ソフトバンク・ビジョン・ファンドが低迷
22年度Q1-Q3の連結業績は、売上高が4兆8,758億円(前年同期比+2,949億円)、投資損益が1兆3,612億円の損失(同-8,094億円)、純利益が9,125億円の損失(同-1兆3,051億円)でした。
22年度Q2には、中国のIT大手アリババグループの株式を売却したことで利益が出ました。しかしQ1-Q3の9か月でSVFの投資損失が5兆68億円まで膨らんだことで、1兆3,612億円の投資損益となっています。
SVFの投資損益は、直近の厳しい状況により、SVFのスタート以来の累計で見ると6,645ミリオン(66億4,500万ドル)のマイナス。しかし後藤氏は「直近では改善傾向にあります」と分析します。そして「10年超という長期の運用ファンドですので、まだまだ投資期間は続きます。既存投資の価値の向上もしっかりと目指し、ファンドのリターンを確保していきます」と説明しました。
この22年度Q1-Q3の投資損益の特徴については「公開投資先38社の株価減によるものが16.6ビリオン(166億ドル)、投資先138社の業績悪化によるものが12.2ビリオン(122億ドル)ありました。世界的な株価下落があり、経済環境の悪化、サプライチェーンの分断といった様々なリスクにも直面し、各社とも厳しい戦いを強いられた結果だと思います」。こうした状況を受けてソフトバンクグループでは引き続き、大胆な投資は行わずに”守りを徹底”していく方針です。
投資家も孫会長復帰を期待?
質疑応答では、イギリスの半導体設計大手Armの上場について、米国のニューヨーク、ナスダック、英国のロンドンなど、どの取引所への上場を検討しているのか、と進捗状況についての質問がありました。Armでバイスプレジデントを務めるIan Thornton氏は「いずれの証券取引所も検討していますが、まだ何の決断もしていません。2023年中に上場することに強い決意を持っています」と回答しました。
決算説明会に孫正義会長が顔を見せないので記者席も半分しか埋まっていない、投資家も孫会長の戦略を聞きたがっているのでは――という質問もありました。これに対して後藤氏は「決算説明会に孫が出なくなったことで来場の記者数が減っているのであれば、わたしの不徳の致すところです。皆さん『孫さんの経営戦略を聞きたい』ということだと思います。これまで孫は、四半期ごとに経営戦略を語ってきました。彼も『今後は顔を出さない』と言っているのではないので、できるだけ早いタイミングでまた皆さんの前で発表できるようになれば、我々も嬉しく思います」と回答していました。