「同じ轍を踏む(おなじてつをふむ)」とは、他の人と同じような失敗を繰り返してしまった時に、戒めとして使われることわざです。あまり前向きな表現ではありませんので、使い方には気をつけたい表現でもあります。
この記事では、「同じ轍を踏む」の意味や読み方、語源とともに、具体的な使用例や類義語、英語表現などを紹介します。
「同じ轍を踏む」についてよく知らないなら、語彙力を増やすいい機会ですので、ぜひご一読ください。
「同じ轍を踏む」とは
「同じ轍を踏む」の読み方
「同じ轍を踏む」は、「おなじてつをふむ」と読みます。
「同じ轍を踏む」の意味
「同じ轍を踏む(おなじてつをふむ)」とは、「先人の失敗を繰り返してしまう」という意味のたとえです。ビジネスシーンなど、改まった場面でも使われることがあります。
「同じ轍を踏む」の語源
「同じ轍を踏む」に使われている「轍」とは、「車が通った際に残る車輪の跡」「わだち」を指します。
自動車が普及する前には、馬車や牛車などの動物が動力になっている車や、荷車などの人が動力となる車が使われていました。先に通った車の「轍」に沿って進むと安定して進めます。しかし、転倒した車の轍を進んでしまうと、同じように転倒してしまうこともあります。
このことが由来となって、「同じ轍を踏む」が「失敗を繰り返す」という意味で使われるようになりました。
「同じ」が使われないこともある
「同じ轍を踏む」という表現では、「同じ」が使われないこともあります。例えば、下記のような言い回しがあります。
・轍を踏む
・前車の轍を踏む
・前轍を踏む
いずれも「同じ轍を踏む」と同じ意味の表現ですので、覚えておきましょう。
「同じ轍を踏む」の使い方と例文
「同じ轍を踏む」は普段の何気ない会話の中で使う機会は、あまり多くない表現です。そこで、「同じ轍を踏む」の使い方や例文を紹介していきます。
戒めの言葉として使われることが多い
「同じ轍を踏む」とは、「先人の犯してしまった過ちを繰り返してしまうこと」を指します。
「同じ轍を踏まないよう」などの言い回しで、繰り返したくはないネガティブなできごとを起こさないよう、戒める時に用いられる表現です。
自分以外の失敗を指摘する際に使われる
「同じ轍を踏む」は、過去に自分が犯した過ちを指して用いられることはあまりありません。
同じ人に失敗を繰り返さないよう指摘するのではなく、他人が過去にした失敗や過ちを指して、同じことを繰り返さないようにと戒める状況で使われます。
「同じ轍を踏む」の例文
・昨シーズンのチームと同じ轍を踏むことがないよう、念入りにプレゼンの準備を進めていきましょう
・後輩が自分と同じ轍を踏むことのないよう、とくに注意すべき点をまとめて伝えた
このように、「同じ轍を踏む」はビジネスシーンでも使いやすい表現です。
「同じ轍を踏む」の類語・言い換え表現
「同じ轍を踏む」には、似た状況で使われることわざ・慣用句がいくつかありますので、確認しておきましょう。ここでは、「同じ轍を踏む」の代表的な類語表現を紹介していきます。
二の舞を演じる
・先輩の二の舞を演じることがないよう、慎重に対処してください
・先輩と同じ轍を踏むことがないよう、慎重に対処してください
「二の舞を演じる」とは、「前の人と同じ失敗を繰り返してしまう」という意味がある表現です。「同じ轍を踏む」と同じ意味で使われます。
両者が混ざってしまい「二の舞を踏む」となるのは間違いですので気をつけてください。
二度あることは三度ある
・二度あることは三度あるというので、なお注意して取り組んでいきましょう
・同じ轍を踏まないよう、なお注意して取り組んでいきましょう
「二度あることは三度ある」とは、「物事は繰り返されるものだ」という意味があることわざです。
同じ失敗を何回も繰り返すという点では「同じ轍を踏む」とは共通していますが、「二度あることは三度ある」は、過去に少なくとも2回失敗している状況で使われます。
「同じ轍を踏む」の英語表現
日常生活やビジネスシーンの中で英語を使う機会があるなら、「同じ轍を踏む」の英語表現も押さえておきましょう。ここでは、「同じ轍を踏む」の代表的な英語表現を紹介していきます。
make the same mistake
・Be careful that you don't make the same mistake. (同じ轍を踏まないよう気をつけてください)
「make the same mistake」には、「同じ間違いを繰り返す」という意味があります。「同じ轍を踏む」の英語表現として覚えておきましょう。
fall into the same rut
・We never fall into the same rut. (我々は決して同じ轍を踏まない)
「fall into the same rut 」とは、「車輪」という意味がある「rut」を用いた「同じ轍を踏む」の英語表現です。あまり使われない表現ではありますが、参考までに紹介しました。
「同じ轍を踏む」は失敗しないよう戒めるためのことわざ
「同じ轍を踏む」とは、先人と同じ失敗を繰り返すことを指すことわざです。単に「轍を踏む」と表現することもあります。
「轍(てつ)」とは元々、車輪そのものや車輪が通った跡を指す言葉でしたが、意味が転じて「先例」を指すようになりました。
例えば、「同じ轍を踏むことにならないよう、しっかり対策すべきだ」などのように、戒めの言葉として使われることが多いです。
「二の舞を演じる」など類語表現もありますので、あわせて押さえておきましょう。
「同じ轍を踏む」はビジネスシーンなどでも使える言い回しです。この記事で紹介した意味や使い方を参考に、適切なシーンで活用してみてください。