米ノースカロライナ州立大学(NCSU)の研究チームは、パッケージ素材が、牛乳の風味と鮮度に与える影響に関する研究結果を発表した。それによると、ガラスビンは風味や鮮度を保つのに適しているが、紙パックは風味に影響を与えやすいことが主に影響し、「牛乳はビンで飲むほうがおいしい」ことが分かったそうだ。

  • なぜ「牛乳はビンで飲むほうがおいしい」のか? 米研究チームが科学的に分析

    やっぱ、牛乳はビンで飲んだほうがおいしい!

牛乳などの乳製品は、光が当たることで、「光酸化」と呼ばれる反応を起こし、風味や鮮度が落ちてしまうことで知られる。これは、紫外線などが持つ光エネルギーによって、脂質やタンパク質などが酸化してしまう現象だ。そのため酪農業界は、遮光性の高い容器で牛乳を包装することに重点を置いてきた。パッケージ自体が牛乳の風味に与える影響については、ほとんど理解が進んでいなかったのだとか。そこでチームは、本研究を実施することにしたそうだ。

本研究で使用した容器は紙パックのほか、PET(ポリエチレンテレフタレート)やHDPE(高密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、LLDPE(リニアポリエチレン)などのプラスチック製の容器、ガラスビン。それぞれの容器に低温殺菌した牛乳を入れ、光酸化を抑制するために暗所で保管し、4℃の低温で保存した。

実験では、まず人間の感覚を用いて製品の品質を判定する「官能検査」を実施。評価者はそれぞれ初日、5日後、10日後、15日後に各サンプルを試飲し、風味などを評価した。また、それぞれのパッケージから揮発性化合物がどのくらい牛乳に透過しているかも測定した。さらに10日目には、一般消費者によるブラインドテイスティングを実施。紙パックやプラスチック製の容器に入れた牛乳と、ガラスビンに入れた牛乳の違いを感じられるかどうかを調べた。

結果としては、牛乳のパッケージに一般的に使用される素材が、風味に影響を与えていることが分かったという。特に、紙パックとLLDPE(リニアポリエチレン)は、牛乳の風味や鮮度が落ちやすかったという。これは、パッケージ素材が牛乳の風味を吸収し、パッケージ素材の風味が牛乳に移ってしまうためだそう。官能検査では、他の容器と比較して「古くさい」風味などの評価がされたほか、最も揮発性化合物の浸透が多かったのだとか。

一方でガラスビンは、官能検査での評価が高く、揮発性化合物の浸透も低かったという。ガラスビンは風味と鮮度の保存に最も適しているようだ。ちなみに、10日目に行ったブラインドテイスティグでは、ガラスビンとPET(ポリエチレンテレフタレート)、HDPE(高密度ポリエチレン)で包装された牛乳を区別することができなかったが、紙パックとガラスビンの区別はできたという。

同研究チームは、今回の結果に「牛乳は他の多くの飲料に比べてマイルドで繊細な味であるため、パッケージに関連する風味の影響を受けやすい。牛乳の味は、光酸化以外にもパッケージの化合物が牛乳と交換されたり、パッケージが周囲の冷蔵環境から食品の味や香りを吸収することによって影響を受けることが分かった」とコメントしている。

ネット上では「やっぱそうだったのか!瓶牛乳は一味違う。」「ペットボトルより缶や瓶のコーラがうんまいのも似たような理由があるんかな?」「瓶牛乳好きやったな、給食毎日好きやったw」などの声が寄せられた。