朱書きは「速達」「親展」といった文字を、封筒に赤字で書くことを言います。書かれているのを見たことはあっても、いざ自分が書くとなると、正しい書き方やルールがわからないという方も多いのではないでしょうか。朱書きは郵便物を出す際のマナーの一つであり、使い方を間違えると相手に不快な思いをさせる可能性もあります。
そこで本記事では朱書きの詳しい意味や役割、正しい書き方、封筒に書く際の注意点を紹介。よく見る「在中」「親展」の意味や、文書の訂正に用いる朱書きについても解説します。
朱書きとは? 意味や何色で書くのかを解説
まずは、朱書きの基本的な意味や役割を解説します。
朱書きは郵送する封筒などに書かれた赤文字のこと
「朱書き」は封筒に赤文字で書かれた「速達」や「親展」などの文字のことを指し、封筒を受け取る人が封を開けなくても中身や重要度がわかるように、との目的で書かれています。
また、配達する側が分類する際にわかりやすくする役割を持つ朱書きもあります。年賀状に書かれる「年賀」はそうした朱書きの一つです。「年賀」と朱書きすることで一般のハガキと混ざらないようにしています。
なお、朱書きの読み方は「しゅがき」です。「朱書」と書いて「しゅしょ」と読むこともあります。
朱書きの封筒への書き方
朱書きは特に複雑な手順などはないので、ルールさえ守れば誰でも簡単に書けます。ここでは朱書きの書き方を紹介するので、実際に書く前に確認しておきましょう。
赤ペン(ボールペン、サインペンなど)で書く
朱書きには赤ペンを使用します。赤色であればボールペンでもサインペンでも問題ありませんが、よりはっきりと目立たせたい場合はサインペンがおすすめです。
ただし、サインペンは封筒から中に入っている書類にインクが染みる可能性があります。使用する前に試し書きをするなどして、中の書類に赤いインクがつかないように注意しましょう。
書く位置は封筒の表 - 縦書きか横書きかは宛名にそろえる
朱書きを使う際は、書く位置にも注意が必要です。朱書きは封筒の表側に書きます。
文字の向きは宛名にそろえてください。縦書きであれば封筒の左下、横書きであれば封筒の右下に書きましょう。
四角の枠で囲む
「速達」や「親展」など朱書きを書いたら、さらに目立つように赤ペンで四角に囲みます。手書きだと線が曲がって見た目がよくないため、定規を使うなどしてまっすぐな線を書くようにしましょう。
文字の大きさはバランスを見て
朱書きは目立たせることが目的ですが、宛名より目立たせるのは避けてください。宛名とのバランスを考えて、宛名の文字より太くなったり大きくなったりしないように気をつけましょう。ただし、小さくなりすぎないようにも注意が必要です。
スタンプを使ってもよい
朱書きをよく使うのであれば、スタンプを使うのもおすすめです。「履歴書在中」「重要書類在中」といった画数の多い文字も、スタンプであれば書く手間が省けるだけでなくきれいに記すことができます。
朱書きのスタンプは文房具店や100円ショップなどで簡単に手に入るので、作業を楽にしたい場合は購入を検討してみるといいかもしれません。
宛名の書き方は?
そもそも封筒で書類などを郵送する際には、朱書き以外に郵便番号や住所、相手の名前などの「宛名」が必要です。名前には適した敬称をつける必要もあります。
宛名の書き方については、下記の記事で詳しく紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
朱書きでよく見る「在中」の使い方
よく使われる朱書きの一つに「在中」があります。ここでは「在中」の役割や使い方について簡単に紹介します。
書類の中身を示す大事な役割
「在中」は封筒の中身が重要な書類であることを示す際に使うもので、「〇〇在中」と記すことにより配達側にも受け取る側にも重要性を伝える役割があります。
「〇〇」の部分は「契約書」「申込書」のように書類の種類を明確に記す場合もあれば、「重要書類」のように明示はせず重要性だけを示したかたちで記す場合もあります。目的に応じて上手く使い分けましょう。
就活・転職活動では履歴書などの応募書類を送る際に必須
就職・転職活動中に履歴書を郵送する際は、朱書きで「履歴書在中」と書くのが一般的です。
企業には日々大量の郵便物が送られてきますが、中には不要な郵便物が含まれている場合もあるため、開封せずに処分してしまう可能性も否めません。
採用担当者の手元に確実に履歴書を届けるためにも、履歴書を郵送する際は必ず朱書きで「履歴書在中」と書きましょう。
「親展」の意味とは
朱書きの中でも特に扱いに気をつけたいのが「親展」です。ここでは、「親展」の意味や注意点について解説します。
「親展」は取り扱いに注意
「親展」と書かれているものは「宛名の人のみ開封可能」という意味を持ちます。契約内容の確認書類や健康診断の結果など、個人的な内容の書類を送る際に使われる言葉です。
本人以外の開封は法律違反になることも
「親展」と朱書きされた封筒を本人以外が開封した場合、「信書開封罪」(刑法第133条)に問われることがあります。
信書開封罪は親告罪になるため、被害者が告訴しなければ起訴されません。しかし家族であっても、本人以外が開封した場合は罪に問われる可能性があるため注意が必要です。
関連記事: 封筒に書く「親展」の使い方って?
文書の訂正に使う朱書き
朱書きは封筒の表に書くだけでなく、文書の中でも使われる場合があります。ここでは、文書で使われる朱書きについて解説します。
訂正の二重線も朱書き
文書で書き間違いを訂正するときに、赤字で二重線を引くことがあります。このときの二重線も朱書きの一つです。重要書類などでは、訂正前の文字が見えるように二重線を引いた上で捺印します。
なお、二重線は必ずしも赤字とは限りません。黒で書くこともあります。また、二重線ではなく1本の線だけで訂正することもあります。こうしたルールは企業によって異なるので、所属する場所のルールに従うようにしましょう。
文書で朱書きを使うときの注意点
文書で朱書きを使うときは、修正ペンで消さずに訂正する箇所を残しておくことが基本です。
また、数字を修正する際は1文字だけでなく、数字全体を修正するようにしましょう。例えば「540,000」の「4」だけを修正したい場合、「540,000」全体に二重線を引いて書き直すのが正しい使い方です。
朱書きを書く際の注意点
朱書きを書く際に注意すべきポイントをまとめました。実際に書く前に確認しておきましょう。
人名(宛名)は朱書きで書かない
人名を朱書きすることはNGです。諸説ありますが、下記のような昔の言い伝えが理由で、赤字で名前を書くことは縁起が悪いとされています。
・赤色が血を連想させる
・昔、罪人の名前を赤で書いていた
・昔、果たし状や絶縁状で相手の名前を赤で書いていた
・墓石に名前を入れる「朱入れ」を連想させる
・赤で名前を書かれると寿命が縮む
誤って宛名まで朱書きしてしまわないよう、注意してください。
油性ペンで書く
朱書きに使うボールペンやサインペンは、なるべく油性ペンを使いましょう。水性のボールペンやサインペンで書くと、雨などで濡れてしまった場合に消えてしまう可能性があります。
朱書きは基本的なビジネスマナー
朱書きの役割や書き方などについて紹介してきました。朱書きを書くときは下記の4つに注意して書きましょう。
・赤い油性ペンを使う
・封筒の表に、縦書きの場合は左下、横書きの場合は右下に書く
・朱書きの枠は定規できれいに書く
・宛名より目立たないように書く
朱書きは基本的なビジネスマナーです。今回紹介した内容を参考に朱書きを正しく使って、届けたい人の元に確実に書類を届けられるようにしてくださいね。