サムスン電子は2月2日(日本時間)、Galaxy新製品のグローバル発表イベント「Galaxy Unpacked February 2023」を開催しました。Galaxyスマートフォンの最新フラッグシップモデルとなる「Galaxy S23」シリーズ3機種と、Windows PC「Galaxy Book3」が発表されています。
「Galaxy S23」シリーズ3製品と「Galaxy Book3」シリーズ3製品についてはそれぞれニュース記事として紹介していますので、詳細はそちらを参照ください。また、「Galaxy Unpacked February 2023」の模様は、YouTubeでアーカイブ映像を視聴できます。
初めて「Ultra」を冠したGalaxy PC製品が登場
最初に登場したのはMX(モバイルエクスペリエンス)事業の責任者であるTM Roh氏。同氏はあらためて「Galaxy S」シリーズの位置づけとこれまで目指してきたところを振り返ったのち、「これまでで最高の『Galaxy S』シリーズ製品」という「Galaxy S23」、「はじめての『ウルトラPC』」という「Galaxy Books3」の2製品をさっそく紹介します。
Roh氏はこの「Ultra」について、「『Ultra』というのは、大きい、際立った、ベストの中のベストという意味」「妥協のないパフォーマンスを実現したイノベーションのための新プレミアムスタンダード」だと語ります。そして、「実際に見てみないと信じられないでしょう」と、今回のプレゼンテーションで使用される映像がすべて「Galaxy S23 Ultra」で撮影されたものだと明かし、「『Unpacked』へようこそ!」とオープニングを締めくくりました。
リドリー・スコット監督もこのサイズに驚嘆
「Galaxy S23」シリーズを紹介したのは、プロダクトマネージメント担当ヴァイスプレジデントのDrew Blackard氏でした。氏は、「Galaxy S23 Ultra」のカメラ性能を伝えるため、「エイリアン」「ブレードランナー」などで知られる映画監督のリドリー・スコット氏にスペシャル映像の制作を依頼したことを紹介します。
スコット監督のチームの撮影担当者は、「最初は、自分のいつもの仕事にくらべて自由度が少ないと思ったんだ。でも、設定に慣れたら、何でもできるってことに驚いた。『Galaxy S23』につれて知れば知るほど、その可能性を印象づけられたよ。映像のクオリティ、センサーのダイナミックレンジにね」と語ります。スコット監督自身も、「プロ用の撮影機材は大きい。それに対して『Galaxy S23』の小ささは驚異的だ。私は(セットでなく)リアルな環境で撮影することが好きなんだが、たいていの部屋や空間は狭いので、この小ささはとても便利だ」と言い、将来モバイル機器で映像を作ろうとしている人に対して、「まずはやってみることだ。自分が何をやっているか理解してね」というメッセージを送りました。
このあとはカメラの機能の紹介。動画については、12ビットのダイナミックレンジ、フロントカメラでの4K 60fps Super HDR対応、8K 30fpsの対応、広がった画角、8K動画での明るさ向上といった新機能を挙げます。
静止画では、200メガピクセルのセンサーをピックアップ。撮影した写真の背景の細部まで精細に残せることをアピールします。この“アダプティブ”センサーは、光量によって動作が異なり、低照度環境では16素子を1画素とする12メガピクセルの高感度カメラ標準的な照度下では4素子を1画素とする50メガピクセルのカメラとして機能します。
このほか、低解像度のGIF画像をクリーンアップするGIF Remaster、天体タイムラプス写真撮影、RAW画像を細かく調整できるExpert RAW機能などにより、他人と共有する価値のあるコンテンツを生み出せることを強調しました。
そして、2022年に導入されたNightgraphyもアップデートされています。この機能については、やはり「Galaxy S23 Ultra」によるスペシャル映像を制作した韓国の映画監督ナ・ホンジン氏がコメント。
同氏が「いちばんのチャレンジは、ほとんどの撮影を暗い場所で行ったことだね」と言うように、暗いシーンの多い撮影だったようですが、撮影担当者は「HDRの撮影では、暗い中でも細部をしっかり撮影できたのでとても助かりました」と語っています。ホンジン監督はさらに、「スマホでの撮影ではカメラが動かさないようにできるだけ気をつけるんだけど、今回の撮影では見てのとおりけっこうカメラを動かしている。でも、『Galaxy S23 Ultra』ではそれでフォーカスが外れることがない。自然な動きをつけるのに役立っている」「プロ向けのハイスピードカメラのような120fpsの映像も撮れる」など、「Galaxy S23 Ultra」の撮影性能に驚いていました。
パフォーマンス面では、「これまでのGalaxyでもっとも強力なCPUでもっとも高速なSnapdragon」というSnapdragon 8 Gen 2 Mobile Platform for Galaxyの搭載により、CPU/NPU/GPUの性能が大幅に向上し、カメラ機能の向上やゲーミングに貢献していることをアピールしました。
「Galaxy Book3」は3つのポイントをピックアップ
そして話題は「Galaxy Book3」シリーズに移ります。まずはCPUに第13世代Intel Core i7/i9、グラフィックスにNVIDIA GeForce RTX 4050/4070を搭載、ディスプレイはDynamic AMOLED 2Xを採用といった強力なスペックにより、クリエイティブやゲームといった利用シーンで活用できることを示します。
さらにノマドワーカー向けには、スマホ/タブレットなど複数のデバイスの連携をアピール。「Galaxy Book3」からのスマホ/タブレット操作、デバイス間のコピー&ペーストや画像転送といた機能をピックアップしていました。
3つ目のポイントとして取り上げられたのは、2in1タイプの「Galaxy Book3 Pro 360」。低遅延のSペンの活用も含め、自由度高く活用できることを紹介しました。
最後に今回発表の新製品だけに限らないGalaxy製品群が自然にその場にあるライフスタイルやセキュリティなどを紹介して、製品紹介は終了。ここで各製品の発売予定と価格がアナウンスされました。
Qualcomm/Googleとの親密な関係もアピール
製品発表に続いては、Galaxyのサステナビリティへの取り組みを紹介。「Galaxy S23」シリーズでは本体へのリサイクル素材の利用を拡大し、パッケージも再生紙素材のものを新たにデザイン。「Galaxy Book3」でもリサイクルされた海洋投棄プラスチック素材を使用しているそうです。OSメジャーアップデート4回/5年間のセキュリティアップデートをサポートするという方針も、持続性を高めるために製品寿命を延ばす取り組みとして位置づけられています。
締めくくりにはTM Roh氏がふたたび登場。スペシャルゲストとしてQualcommのCEOであるCristiano Amon氏、Googleのプラットフォーム/エコシステム担当シニアバイスプレジデントのHiroshi Lockheimer氏を壇上に迎えました。
Amon氏はサムスンとQualcommがモバイル分野で25年間に及ぶパートナーシップを維持しており、近年ますます密接な関係になっていると話します。そして今回の「Galaxy S23」シリーズに搭載されているSnapdragon 8 Gen 2 Mobile Platform for Galaxyの高いパフォーマンス・豊富な機能をあらためて確認。今後もノートPC/タブレット/XRなどのGalaxy製品で協業していくことを宣言しました。
続いてLockheimer氏は「もう待ちきれない」とグリーンの「Galaxy S23 Ultra」を自分のポケットから取り出し、「少し使ってみましたが、とても気に入りました」と切り出します。普段からRoh氏とGoogle Meetでやりとりをしているという同氏は、次世代のXRにおいてはソフトウェアとハードウェアの協業が欠かせないとして、Qualcomm/サムスン/Googleの3社の協力関係の重要性を語っていました。
最後にRoh氏が参加者への感謝の言葉を述べた後、「また近いうちにお会いしましょう」と挨拶してイベントは終了しました。