国民生活センターは2月1日、賃貸住宅退去時の「原状回復」に関する相談が多く寄せられているとして、消費者に注意を呼びかけた。
原状回復トラブル、2~4月に増加
「原状回復」とは、借主の故意・過失によって賃貸住宅に生じたキズや汚れ(損傷)、また借主が通常の使用方法とはいえないような使い方をしたことで生じた損傷等を元に戻すことを指す。契約終了時、借主は賃貸住宅の原状回復を行う義務を負うが、借主の責任によるものではない損傷や、普通に使っていて生じた損耗(通常損耗)、年月の経過による損耗・毀損(経年変化)については、原状回復を行う義務はない。
同センターには、賃貸住宅に関する消費生活相談は毎年3万件以上寄せられており、そのうち原状回復に関する相談件数は毎年1万3,000~4,000件程度と、全体の約4割を占める。また、原状回復に関する消費生活相談を月別にみると、12月から1月頃は最も少なく、2月から4月にかけて増加し、5月以降には減少するという傾向がみられるという。
相談事例としては、「敷金礼金不要のアパートを退去したら、契約書の記載と異なるエアコン清掃代や入居前からあったフローリングのキズの修繕費用まで請求された」、「20年以上住んだマンションを退去した際、入居時から付いていたキズについて『最近付いたものだ』として修繕費用を請求された」といった内容が寄せられている。
同センターによる消費者へのアドバイスは下記の通り。
・契約する前に、契約内容の説明をよく聞き、契約書類の記載内容をよく確認する。
・入居する時には、賃貸住宅の現在の状況をよく確認し、記録に残す。
・入居中にトラブルが起きたら、すぐに貸主側に相談する。
・退去時には、精算内容をよく確認し、納得できない点は貸主側に説明を求める。
・納得できない場合やトラブルになった場合は消費生活センター等に相談する。