牛丼チェーンの吉野家、東北大学100%出資のコンサルティング会社・東北大学ナレッジキャスト、および東北大学と日立ハイテクによる脳科学カンパニーNeU(ニュー)は共同で、20代から60代の働く人1,000人を対象に「朝食習慣と幸せ度・ライフスタイルに関する調査」を行なった。
同調査はインターネットによるアンケート形式で2022年10月25日から10月26日の2日間に実施。設問は2010年の東北大学の発表資料に準拠し、コロナ禍による影響、スマホ普及による影響についての設問を追加した。
調査の結果、自身が感じる「幸せ度」は全体平均で2010年は65.1点、2022年は60.4点となった。朝食摂取頻度別の結果では、朝食頻度が高い人ほど幸せを感じる傾向が強く、毎日食べる人と週1日以下の人では2022年は10.7点もの点差が見られた。
「平日、朝食をとる理由を、全て教えてください。(MA)」の設問では、2010年と2022年の首位が異なる結果となった。
2010年の1位は「健康に良いから」、2022年の1位は「純粋にお腹が減るから」。2010年の1位「健康に良いから」は2022年に4位へランクダウンしており、これは朝食を週1日以下とる人は全体的に目的意識が下がったことの影響と思われる。
2位「1日の活力が出るから」、3位「生活のリズムができるから」は2010年も2022年も同様であり、朝食をとることで1日の活力や生活のリズムを望む人は普遍的に多いことがわかった。
朝食頻度別で回答に乖離が顕著であった項目は、2010年、2022年共通していた。「生活リズムが安定している」「体調管理・健康管理に気を配っている」「定期的にからだを動かしている」の項目は朝食頻度が高いの人の回答結果は朝食頻度が低い人と比較して20%から30%程度高い数値を示す傾向にあった。また、朝食頻度が低い人は休みの日は寝ていることが多いこともわかった。
平日のアフター5 の過ごし方について聞くと、朝食頻度によらず、家でくつろいだり、パソコンやス マホ、タブレットなどでインターネットを楽しんだり、TVやDVDを見たりして過ごす人が多い結果となった。また、2010 年と 2022 年を比較して顕著であったのが「アフター5 はない」と回答する人が増加したことだった。
「朝食の摂取頻度を教えてください。(SA)」の設問では、全体の結果では週に5日食べる人が約7割程度いることに2010年と2022年に相違はなかった。一方で、性年代別の結果では、男性20代において2010年と2022年で大きな差が見られた。
男性20代は2010年の調査では「平日は食べない」「朝食をとらない」を除いた平日に朝食をとる人の割合が合計92%であったが、2022年は21.5%減少し、70.5%となった。また、 男性20代は幸せ度が全世代の中で最も低い年代となっている。
性年齢別にスマホ使用状況を見ると、3時間以上の利用者は男女ともに若い世代ほど多く、20代が最も使用時間が長い。
また、朝食頻度が高い層は、スマホの使用時間が少ない傾向が見られた。朝食頻度が高い層とそれ以外では、スマホを1日3時間以上利用する割合に10ポイント以上の差が見られ、5時間以上利用する割合ではおよそ2倍の差が生じている。
「スマホ使用時間5時間以上」の人では「起床時間が決まっていない」や「起床時間9時以降」の割合が増し、使用時間の長くなるほど「朝食を食べない」人が増加することからも、スマホ使用が朝食の摂取習慣に影響を及ぼしていることがうかがえる。
コロナ禍以降のライフスタイルの変化を尋ねたところ、「幸せ度」が高い層は、朝食頻度と米を食べる頻度が高くなった割合が多かった。
一方、「幸せ度」が低い層は、朝食頻度と米を食べる頻度が「幸せ度」が高い層の半分程度と低かった。また、「幸せ度」が低い層は、イライラしたり、不安になったりする頻度が高くなった割合が多かった。
平日のアフター5の過ごし方について聞くと、朝食頻度によらず、家でくつろいだり、パソコンやスマホ、タブレットなどでインターネットを楽しんだり、TVやDVDを見たりして過ごす人が多かった。また、2010年と2022年を比較して顕著だったのが「アフター5はない」と回答する人が増加したことだった。
コロナ禍での変化に対して今後増やしたいことを尋ねると、どの年齢層も男女とも「外食に出かける頻度」「一週間当たりの外出回数」を増やしたい意向が強かった。また、朝食頻度M層では、朝食回数を増やしたい意識が高く、課題を感じていることがわかる。
2010年、2022年の全体の結果を見ると、上位3位の項目(1位「経済的な余裕」、2位「健康状態」、3位「家族の状態や家族関係」)に差異は見られなかった。
4位と5位に差が生じており、 2010年は4位「仕事の充実度」、5位「自由な時間があること」であったのに対し、2022年は 4 位「充実した余暇が過ごせていること」、5位「趣味を十分楽しめていること」の結果となった。
2010年と2022年で1位と5位が逆転した。2022年1位の「食事をしているとき、食べ物を食べて いるとき」は2010年の結果では5位だったのが大幅にランクアップ。一方、2010年の1位「仕事がうまくいったとき」は2022年の結果では5位にランクダウンした。
「やりたくない仕事でも我慢してやる」が大幅に減少した一方、「会社関係の人間とは仕事以上の付き合いをしたくない」が大幅に増加した。
仕事に対する意識は、朝食頻度に関わらず、2010年と2022年ともに上位3位の結果が同様だった。(1位「仕事プライベートのバランスを大切にしたい」2位「勤務態度はまじめな方だ」3位「仕事には協調性が大事である」)
全体の結果を比較すると、「会社関係の人間とは、仕事以上の付き合いをしたくない」「現在の待遇に満足している」「仕事でのストレスを感じていない」の回答率が2010年よりも上昇し、「専門的なスキルを身につけたい」「どんなにやりたくない仕事でも我慢してやる」の回答率が2010年よりも下落した。
仕事に対する意識での「専門的なスキルを身につけたい」「やりたくない仕事でも我慢してやる」の大幅減少など、仕事に対する意識の変化が顕著にみられ、また「会社関係の人間とは仕事以上の付き合いをしたくない」が大幅に増加するなど、「仕事の充実度」よりも「余暇や趣味の充実度」を重視する傾向への変化が顕著となった。
これらは2010年調査時に60代だった、高度成長期の仕事中心の価値観を持つ団塊の世代が抜け、新たに経済低迷期の個人中心の価値観を持つZ世代とY世代の一部である20代が加わったことによる「価値観の変化」が反映されていると考えられる。