JR西日本中国統括本部は2日、岡山・備後エリアに導入する新型車両の報道公開を実施した。広島エリアなどで活躍する227系をベースに新造し、車両形式は227系500番代、車両愛称名は「Urara(うらら)」に。2023年度から順次導入予定となっている。
227系500番代は近畿車輛で製作され、報道公開も同社(大阪府東大阪市)で行われた。2両編成を3編成連結した計6両(「クモハ227-526」「クモハ226-526」、「クモハ227-527」「クモハ226-527」、「クモハ227-528」「クモハ226-528」)で展示し、先頭の2両「クモハ227-526」「クモハ226-526」は車内も公開された。
車両のデザイン監修はGKデザイン総研広島が担当。「豊穏の彩(ほうおんのいろどり)」(「豊穏」は「豊穣」と「穏和」からの造語)をデザインコンセプトに、シンボルカラーを「豊穏ピンク」とし、車体前面の窓下と先頭車間転落防止ホロに配色したほか、車体側面の乗務員室ドア後方と連結部付近にも「豊穏ピンク」の縦のラインを配した。
この縦のラインにアクセントカラーなども施した。アクセントカラーは岡山・備後エリアの既存車両(115系・117系)に塗装された黄色と、かつて快速「サンライナー」の車両(117系)で採用した塗装をもとに、淡い暖色系のグラデーションとなった。車体側面の窓下の帯も暖色系のグラデーションに。カラーデザインの基本指針について、「豊穏ピンク」は沿線を象徴する「岡山の桃 / 福山のバラ / 尾道の桜」、暖色系のグラデーションは「太陽の恵みや穏やかさ」を表現したという。
「豊穏ピンク」の縦のラインにエリアシンボルマークも配置し、10路線のラインカラーで岡山の頭文字「O」を表している。車両愛称名の「Urara(うらら)」は、2022年5~6月に行われた公募を経て、「デザインコンセプトにふさわしく、親しみをもって呼びやすい」として決定。車体前面・側面の各所に「Urara」のロゴマークが掲出され、「豊穏の彩」の穏やかさ、柔らかさを表現したデザインとなった。
「クモハ227-526」の定員は133人、「クモハ226-526」の定員は126人。車内の座席は広島エリアの227系と同様、横4列(2列+2列)の転換クロスシートだが、ドア間の座席を縦4列(広島エリアの227系は縦5列)とし、出入口付近のスペースを拡大することで、よりスムーズに乗降できるようにしている。ドア付近に補助シートも設けた。「クモハ227-526」の車端部に車いす・ベビーカー利用者向けのスペース、「クモハ226-526」の車端部にバリアフリートイレも用意された。
吊り手と手すりはオレンジの色調とし、とっさの際につかまりやすい形状に。防犯カメラや戸挟み検知装置を導入し、車内の安全性向上を図った。ドア上部に情報表示装置を設置し、2カ国語による行先案内を行う。車内照明をLED化し、自動温度調節による空調や自動換気機能も搭載。乗客が快適に利用できるような車内空間を提供するとしている。
車体は衝突吸収構造となり、車両異常挙動検知装置や運転士異常時列車停止装置(EB-N装置)といった安全装置も導入。車側カメラの準備工事も行われていた(設置については未定)。空気バネ台車を採用し、ブレーキ等も最新のシステムで搭載したため、115系など既存車両と比べて揺れも少なく、快適な乗り心地になっているという。
227系500番代は2023年度以降、2024年度末頃まで約2年かけて岡山・備後エリアの既存車両を順次置き換える計画としている。導入車両数は計101両(2両編成×13編成、3両編成×25編成)。岡山・備後エリアの山陽本線などに導入予定だが、具体的な導入線区については検討中とのことだった。