エレクトロニクスの開発・実装・検査に関するアジア最大級の展示会「第37回 ネプコンジャパン」が東京ビッグサイトにて1月25日~27日の日程で開催されました。この中でカシオ計算機は、2,000ルーメンの明るさで世界最小・最軽量(カシオ調べ)を実現したビジネス向けのプロジェクターを展示。物流・製造現場における作業の効率化、高品質化、また省人化にもつながる技術ということで、ブースでは多くの来場者が熱心に話を聞いていました。
プロジェクションARは成長市場
展示の中心的な機器でもあったLH-200は、カシオが2021年9月から販売しているプロジェクター。大きさはA5サイズ、重さ約1.1kgと軽量コンパクトな設計ながら、明るさは2,000ルーメンを実現。カシオはLH-200を用いた「投映ソリューション」を、街の商業施設、公共施設、あるいはオフィス、製造業の工場、流通業の倉庫などに向けて展開中です。
通常、プロジェクターといえば専用のスクリーン、または平らな白い壁などに投映して使うのが一般的。でもLH-200は、色のついた床、デコボコした壁、さらには工場の作業台などにも投映できる仕様です。
カシオの中河氏によれば、LH-200には「光の成分」を任意に変えられる機能が搭載されているとのこと。たとえば工場に、緑色の帯電防止マットが敷いてあるとしましょう。ここに注意喚起のメッセージを投映したい場合、グリーン系統の文字や記号だと見えにくくなることが予想されます。そんな場合に、グリーンとは補色の関係にあるマゼンタ(赤紫色)を強調することで視認性を向上できる――そんなイメージだそうです。
「デジタルによるマーキングのメリットとして、はがれない、動きを出せる、いつでも表示を変えられる、といったことが挙げられます」と中河氏。
コロナ禍になり、コンビニやスーパーのレジ前の床などにソーシャルディスタンスを促すステッカーを見かける機会が増えましたが、もしあれがアニメーションしたら……。お客同士が気持ちよく、一定の間隔を保って整列できそうな気がします。また、駅やホテル、エンタメ施設で観光客を誘導するような用途でも、これから導入例が増えていきそうです。
このLH-200、製造現場においては「作業支援ガイド」として活用されています。山形カシオの工場では、プロジェクター製品の検査行程に使用中。中河氏は「手元に作業手順が示されるため、見落としなどのミスがなくなります。仮に配属されたばかりのスタッフでも、負担なく作業を進められます」とメリットを説明します。
従来であれば、目の前のモニター、あるいは手元の紙の説明書を参照しながら行っていた点検作業。こうして製品の上でダイレクトに作業手順を投映してもらえたら、現場スタッフもストレスなく仕事にのぞめそうです。
山形カシオでは、ほかの製品(製造ライン)の作業工程にも導入を検討中。またカシオ計算機では、物流・製造現場向けに広くソリューションをアピールしていく考えです。
水中トランシーバー「ロゴシーズII」が登場
ネプコンジャパンには山形カシオもブースを出展。そこでアピールされていたのは、水中で会話ができるポケットサイズのダイブトランシーバー「Logosease」(ロゴシーズ)でした。スクーバダイビング愛好者に向けて2013年1月から販売されている現行製品「LGS-RG004」については、マイナビニュース +Digitalの林編集長による『』『沖縄の美しい海の中で会話ができる - 山形カシオのダイビング向け小型トランシーバー「ロゴシーズ」体験記II』もご一読を。
さてブースには、その後継機となる「ロゴシーズII」が展示されていました。10年ぶりのフルチェンジモデル、どこがどう進化したのか、気になります。
現在はまだ開発段階で、正式なプレスリリースが出る前ではありますが、担当者に進化のポイントを聞いてきました。それによれば、ロゴシーズIIは腕時計型のダイブコンピュータと連携し、現在の潜水時間や水深をリアルタイムで音声アナウンスし、たとえば浮上速度が早すぎるときには音声アラートで警告する――といった仕様になっているそう。もちろんトランシーバー機能も快適に進化している、との説明でした。
海の中の美しさに魅了されると、ついつい潜水時間を忘れがち。ロゴシーズIIを使って減圧症や窒素酔いのリスクを回避しつつ、仲間とダイビング中の会話を楽しみたいですね。