俳優の沢村一樹が、テレビ東京のドラマスペシャル『ペルソナの密告 3つの顔をもつ容疑者』(3月24日20:00~)の主演を務めることが31日、明らかになった。沢村に対峙するいくつもの人格をもつ青年を竹内涼真が演じる。

  • 左から沢村一樹、竹内涼真

    左から沢村一樹、竹内涼真

同作はオリジナルのスペシャルドラマ。優秀な刑事だったが、妻を殺害された事件をきっかけに退職し、高校生の一人娘を育てながら穏やかな日々を送っていた元刑事の専業主夫・獅子舞亘(沢村一樹)。ある日、「連続誘拐事件」の容疑者となった青年・元村周太(竹内涼真)から突然呼び出され、取り調べを担当することになる。しかも、元村はいくつもの人格が入れ替わりに出現する解離性同一性障害(DID)を抱えていた。

虚実が入り混じった現代社会に送る、これまで観たことのないヒューマンサスペンスドラマで、誰がほんとうの顔で、誰がニセモノの顔を被っているのか、人間の根源に鋭く迫る新感覚のドラマとなる。

主演の沢村一樹は、過去にある事件で妻を殺害された元刑事を演じ、事件を追うキリッとした雰囲気から、娘に見せる柔らかい表情まで変貌ぶりを見せる。沢村が連続誘拐事件の容疑者として取り調べに挑む、いくつもの人格をもつ解離性同一性障害(DID)の青年には竹内涼真が決定。竹内が多くの人格を演じ分ける役を担うのは初、同局のドラマ出演も初となる。

沢村一樹 コメント

企画の段階から少しだけ関わらせていただきました。DIDを表現するのは題材的にすごく難しいと思うのですが、最終的にすごく面白い台本ができた時はワクワクしていました。ただ、元村は誰がやるんだろう?と、そこが気になって仕方なかったです。
元村役が竹内君に決まったと知った時は、そんなビッグネームが来ると思っていなかったのでびっくりしました。すごく難しい役で、イケメンではいられないような人格があったりするので、キャラ的に大丈夫かな!? とは思いました(笑)。
自分の役作りについては、"妻を失くして父(自分)と娘の2人暮らしをしている刑事"を今までとは違う、新しい引き出しを用意しなければならないのがすごく難しかったです。
とにかく台本よりも映像の方が断然いいものができているという手ごたえを感じています。大どんでん返しが何回もある作品になっているので、最後まで推理も楽しんでいただけたら幸いです。

竹内涼真 コメント

今回DIDという難しい症例に向き合う中で、台本を読み説くことに一番時間がかかりました。元村周太という役が、この物語全体においてどういう意味をもたらすのかを明確にしたことで、交代人格それぞれのキャラクターや役割をどう表現していったら良いかが見えてきた気がします。
撮影前から、監督やプロデューサーのみなさんと沢山お話しさせて頂きましたが、僕が感じたこと、思いついたアイデアをすごく尊重して、受け止めてくださるチームで。だからこそリハーサルから、いろんなアイデアが飛び交いました。撮影では、それぞれの人格で沢村さん演じる獅子舞と向き合うため、僕からあらゆる球を投げさせて頂いたのですが、沢村さんが大きい懐で受け止めてくださるので、その場で生まれるものが沢山あり、すごく楽しい現場でした。
交代人格が登場するサスペンスではありますが、すべての人格が一貫して自分の愛情を勝ち取るために生きている姿をフューチャーしていくので、人間ドラマとしても楽しんで頂けるんじゃないかなと思います。僕目線での見どころは、やはり人格が変わる瞬間だと思います。それぞれの交代人格は、かなり緻密にこだわって出来上がったので、ぜひ楽しみにしてもらえたら嬉しいです。

田淵俊彦プロデューサー(テレビ東京) コメント

久しぶりに、自分のこころが震える音を聴いた。
竹内涼真さんの迫真の演技は、そんな忘れかけていた感覚を思い起こさせてくれる素晴らしいものだった。完全に度肝を抜かれた。想像した以上だった。いくつもの人格を演じるのに、数多くの映像や書物を読み解いたという。しかし、かつては「多重人格」と呼ばれてきたその先入観にとらわれるのではなく、自らの既成概念や常識をアンラーンして、まったく新しい解釈で臨んだと聞いて、すとんと腑に落ちた。「目が離せない」「引き込まれる」、まさしくそんな言葉がぴったり当てはまる演技だったからである。きっと視聴者の皆さんもそう感じるに違いない。そしてその全身全霊の竹内さんの演技を「受け止める」ように、ときに優しく包み込み、ときに鋭く相反する沢村さんの表現も、また素晴らしく必見である。共演が初めてとは思えないほどの、息があったふたりの緊張感溢れる「駆け引き」を充分に楽しんでいただきたい。
そしてもうひとつ、つけ加えておきたい。私は竹内さんの目の演技が好きだ。今回、竹内さんに「なぜ僕をキャスティングしたんですか?」と訊かれて、即座に「目です」と答えた。竹内さんの「目力」や「目の表現」が、人格が変わるごとにどのように変化してゆくのか、そんな見事な豹変ぶりも見どころのひとつである。

(C)テレビ東京