ボクシングや、お酒にまつわるシーンなどで使われる「グロッキー」という言葉。本記事ではグロッキーとは何なのか、言葉の意味や由来となった逸話、カクテルについてなどをわかりやすく解説します。
例文と使い方や言い換え表現、死語なのかについてもまとめました。
グロッキーの意味とは?
グロッキーとは、「ボクシングで、相手の打撃や疲労からふらふらになること」や、日常会話としても「ひどい疲労や酔っ払うことから、ふらふらしたりぐったりしたりすること」を表す名詞、形容動詞です。
グロッキーの語源・由来
なぜグロッキーという言葉が生まれ、使われるようになったのかを見ていきましょう。
もともと英語ではgroggy(グロッギー)
グロッキーは英語の「groggy」からきたカタカナ語で、もともとの英語の発音は「グロッギー」です。「グロッキー」はその訛り(なまり)と言われています。
意味に関しては英語での意味も日本語とほぼ同じように、「ボクシングで打たれることや、疲労や病気、睡眠不足などによりよろめく、足もとがふらふらする」という意味です。
海軍のお酒にまつわる逸話から生まれた
グロッキーという言葉が生まれたのは、英国海軍提督のエドワード・バーノン(1684~1757年)とお酒にまつわる逸話が由来とされています。
当時、水兵たちは船上でラム酒を飲んでは酔っ払い、けんかを繰り返していました。エドワード提督はそれを解決しようと、ラム酒を水で割って薄めるように命じたのです。
このラム酒の水割りは、提督のあだ名である「オールド・グロッグ(Old Grog/グロッグおやじ)」と呼ばれるようになったといわれています。その派生語の「groggy」は、本来はグロッグを飲んで酔った状態のことを指しており、ストレートのラム酒による酔いほどはひどくない状態を意味していたそうです。
なお提督のあだ名が「オールド・グロッグ」だった理由は、提督が着ているコートがグログラン織りだったことからきているそうです。
グロッグというカクテルもある
この逸話を基にした、グロッグというカクテルが現在も存在します。一般的には、タンブラーに角砂糖とラム、熱湯を注ぎ、スライスレモンやクローブを加えて作ります。水で作ることもあるようです。
グロッキーは死語?
グロッキーが日本で使われるようになった歴史は古く、1932年(昭和7年)に出版された『社会ユーモア・モダン語辞典』(社会ユーモア研究会 著)にも掲載されています。
また喜劇俳優でもあり随筆などを残した古川緑波による『古川ロッパ日記‐昭和一一年』では、二日酔いのことが「グロッキー」という言葉を用いて描写されています。こちらは1936年(昭和11年)に出版された本です。
このように、日本でも少なくとも昭和初期から身近に使われてきたグロッキーですが、最近の特に若い人の間では「意味がわからない」「死語である」という意見もあるようです。世代や人によっては通じないこともあるので、注意して使用するようにしましょう。
グロッキーの使い方・例文
グロッキーは前述のように、「ボクシングで、相手の打撃や疲労からふらふらになること」や「ひどい疲労や酔っ払うことから、ふらふらしたりぐったりしたりすること」を意味します。
下記の例文を参考に使い方のイメージをとらえましょう。
- ○○選手はグロッキー状態に陥った
- 最近、残業続きでグロッキーだよ
- なんだかグロッキーだ…。(酒を)飲み過ぎたかも…
グロッキーの類語・言い換え表現
グロッキーの言い換え表現も覚えておくと、より理解が深まるでしょう。
ばてる
「ばてる」はもともとはスポーツ選手などの間で用いられていた言葉で、「疲れ果てる」の「果てる」からきています。「すっかりと疲れ果てて動けなくなる、くたびれてしまう」といった意味を持ちます。
ぐったり
「ぐったり」は、「疲労や弱りから、力が抜けた様子」を意味します。「私は部屋についてすぐ、ぐったりと横たわった」などの形で使用します。
精も根も尽き果てる(せいもこんもつきはてる)
「精も根も尽き果てる」は、「精力も根気も使い果たしてしまうこと、気力がなくなること」を意味します。「精根尽き果てる」も同じ意味です。「精根(せいこん)」とは精力や根気、気力、元気、体力、精神力などのことを指します。
グロッキーの意味や使われ方を理解しよう
グロッキーの意味やその由来、使い方などについて解説しました。日本では少なくとも昭和の初めごろから使われている言葉ですが、今では世代や人によっては通じない可能性もあります。そのときは言い換え表現を上手に使うといいでしょう。