旭化成不動産レジデンスが運営するマンション建替え研究所はこのほど、「マンション建替え」に関する調査結果を発表した。調査は、同社が手掛けた全47件の建替えマンションの事例を分析したもの。
建替え決議時点でのマンションの竣工時期を集計したところ、「1951年〜1959年」(10件)、「1960年〜1969年」(14件)、「1970年〜1979年」(16件)など、平均築年数は45.6年。早ければ築30年で建替えを決定するマンションも。マンション建替えを行った主な理由を聞くと、1位「建物の老朽化」、2位「耐震性の不足・不安」、3位「バリアフリーの欠如」、4位「社会的な老朽化」となった。
また、建替えマンションをエリア別にみると、全体の約7割(32件)が東京23区内に集中しており、「立地」が建替えの大きなカギとなっているよう。好立地な物件ほど不動産開発会社が参画しやすく、中でも「余剰容積率」の大きいマンションは建替えが進みやすいという。
次に、「建替え実現物件の最終的な合意状況」について調べたところ、「催告で全員参加」(53.1%)が最も多く、次いで「売渡請求権行使」(23.4%)、「全員同意」(19.1%)、「決議で100%賛成」(4%)と続いた。
建替え決議可決後も、非賛成者(反対者や決議に参加しなかった人など)への催告や売渡請求権行使、明け渡し請求実施など、全員同意とならないケースでは苦難も多いよう。また、建替え決議で当初は全員賛成とはならなかったマンションにおいても、催告を行うことによって結果的に全員同意に至ったケースが25件と半数以上を占めた。
さらに、経済条件別に決議の賛成率をみると、経済条件が良いほど賛成率が高くなると思われるが、実態はそうではなく、経済条件による合意形成への影響は小さいよう。逆に、経済条件が良くない場合でもあっても、「耐震性の問題」「建物の老朽化」「管理不全」などの理由から、建替えが上手く行くケースも見られた。