アート引越センターは1月27日、「転勤(引越の伴う)」に関する調査結果を発表した。調査は2022年12月28日~2023年1月4日、東京、大阪、名古屋、福岡にある従業員300人以上規模の企業で、転勤業務を担当する総務・人事担当者322名を対象にWEBで行われた。
転勤者に対し「赴任手当を支給している」企業は、単身世帯が71.4%、家族世帯が67.7%で、その平均額は、単身世帯が約9.3万円(1999年同調査:約10.4万円)、家族世帯は約13.1万円(同21.2万円)。同様に、「引越費用を支給している」企業は、単身引越70.2%、家族引越は69.3%で、平均額は単身引越が約11.4万円(同約16.9万円)、家族引越が約17.3万円(同約41.3万円)となり、いずれも1999年(調査対象381社)から大きく減少していることが明らかとなった。
また、転勤に関する特例制度について聞くと、52.5%が「特例制度を設けている」と回答。特に、「介護特例」(28.6%)、「育児特例」(27.6%)、「出産特例」(24.2%)が多い結果に。さらに、「転勤者を選ぶ際に家族構成は影響しているか?」という質問に対しては71.7%が「影響している」と回答し、既婚者よりも未婚者のほうが(60.2%)、子どもがいない人のほうが(37.2%)優先されやすいことがわかった。
続いて、「転勤者を選定する際に、どれくらい本人の希望や意思を反映していますか?」と尋ねたところ、44.8%が「反映している(かなり+どちらかといえば)」と回答。1999年(22.6%)と比べて大きくポイントを伸ばしている。
また、転勤に伴う社員からの相談事が「ある」という人は72.0%で、特に「転勤先の住居問題」(48.7%)が多いものの、その割合は1999年調査(75.1%)から大きく減少しており、代わって、次点の「仕事内容」(46.1%、1999年14.9%)や「職場環境」(44.0%、同8.4%)の悩みが増加傾向に。
さらに、「転勤をきっかけに退職した人はいましたか?」と聞くと、「多い」が8.7%、「たまにいる」が48.1%と、6割弱が転勤の辞令をきっかけに退職していることが明らかに。また、「転勤の有無は新卒や中途等の採用活動に影響していますか?」と質問したところ、51.5%が「影響している(大いに+少し)」と回答した。
次に、今後の転勤者数の見込みを聞いたところ、2023年春の転勤者数は、2022年春と比べて「増える」「やや増える」が22.7%。今後の転勤者数の増減についても、22.0%が「増える(計)」と見込んでおり、W i t hコロナが定着した昨今、転勤を控えてきた企業が転勤を増やす兆しがうかがえる結果に。
また、37.9%の担当者が「転勤の制度や内容を見直す予定がある」と回答しており、今後の赴任手当や引越費用の支給額については、「増える(計)」が24.5%、「減る(計)」が10.8%、「変わらない」が47.5%と、現在の市況における物価高が影響してか、全体的にやや増加傾向にあることがわかった。