イケア・ジャパンが1月26日、「Life at Home Report 2022」を発表した。これは「今の家での暮らしには何が重要なのか」を探るために2014年から毎年イケアが行っている調査で、2022年は日本を含む世界37か国、34,705人を対象に実施。IKEA渋谷で行われたメディア向けの説明会では、レポートのテーマを「アイデンティティ・自分らしさ」として、調査でみえた課題や、それをふまえたソリューションが紹介された。
自分らしさが反映されていると、家をもっと好きになる
「家に自分らしさが反映されているとき、家が“メンタル・ウェルビーイング”(精神的に満たされている状態)の源だと考える傾向は、1.7倍に上がりました」と、イケア・ジャパンの小佐井さん。しかし「家に自分らしさが反映されている」と感じている日本人は37%で、これはグローバル平均の58%を大きく下回る。いっぽう日本と世界で共通していたのが「理想の家に求めること」で、最も重要なことは「くつろげること、リラックスできること」、次いで「趣味や興味のあることのためのスペースがあること」だった。
また、10人に6人の日本人が、日ごろから家にストレスを感じていることもわかった。その一番の原因が、「置き場所の定まっていないものがたくさんありすぎる」ことだったという。
ストレスの要因には、プライバシーの問題も挙げられる。「自分の家でプライバシーが確保されている」と感じていたのは、日本ではわずか23%。子どもが成長し書斎を明け渡して自分の居場所がなくなったり、「家の中で唯一、妻や母親ではなくひとりの女性であることを実感できる場所はトイレ・洗面所」と答えた人もいたそうだ。
“収納”にフォーカスし、自分らしい空間づくりを提案
「今回の調査で、家に自分らしさを反映することに、多くの人が難しさを感じていることがわかりました。同時に『自分らしさを表現したい』『家の中での景色も楽しみたい』という声も多く聞かれました」と、イケア・ジャパンの谷川さん。
多くの人が自分のためのスペースをあきらめていたり、置き場所の定まっていないものであふれている現状をふまえて、今年度は「収納」にフォーカスし、「モノに居場所を」というテーマで、さまざまな収納ソリューションを店舗とオンラインで紹介していくという。
たとえば、ベストセラーの本棚BILLY(ビリー)に、引き出しの付いたタイプが登場。本を置いたり、思い出の品や大切なコレクションをディスプレイするだけでなく、ゴチャゴチャしたものは引き出しに収納することで 、“見せる”と“隠す”を一台で実現する。
また自分らしさを表現する方法として、日本では小さなアイテムや小さなスペースを活用する傾向が強いことを受け、趣味のものや好きなものだけを集めて飾ったり、推しの写真やグッズを集めるコーナーを作ることで、心が弾む自分だけのスペースを手軽に作れる商品やディスプレイの提案にも力を入れる。
「整理整頓された部屋は、視覚的にもスッキリして、リラックスできる環境を作りだすだけでなく、小さな変化で大きな効果をもたらします。たとえば植物を育てる、お気に入りの香りのアロマキャンドルをともすことを、日々のささやかなルーティンとしてとりいれてみる。そうした習慣が空間と結びつくことで、よりリラックスした時間を生み出すことができます」と谷川さん。
公式サイトで家具や小物、カラーコーディネートなどを無料で相談できる「リモートインテリアアドバイスサービス」も展開しているイケア・ジャパン。部屋全体のインテリアのコーディネートや収納を考えるのはハードルが高いという人は、こうしたサービスを利用して、自分らしい空間作りを始めるのもよさそうだ。