日本テレビ系ドキュメンタリー番組『NNNドキュメント’23』(毎週日曜24:55~)では、43年間も漂流し続ける大崎事件を取材した『あたいはやっちょらん 鹿児島・大崎事件「95歳の叫び」』(鹿児島読売テレビ制作)を、きょう29日に放送する。

  • 無実を訴える原口アヤ子さん

1979年10月、鹿児島県大崎町で原口アヤ子さんの義理の弟が、自宅の牛小屋の堆肥の中から遺体で見つかった。原口さんは一貫して無実を主張したが、共犯とされた知的障害を持つ親族3人の自白により有罪が確定し、10年間服役した。

その後、原口さんが求めた裁判のやり直し「再審」では、裁判所が 3度再審開始決定を出すも上級審で棄却。4度目となった昨年6月の地裁の判断も「再審認めず」で、重い扉は開かなかった。

「第4次の地裁判断は第3次最高裁への忖度である」と話すのは、元裁判官で法政大学大学院の水野智幸教授。事故死の可能性を認めつつ再審開始の決定を出さなかったのは、最高裁の判断を覆すつもりがないからと分析する。地裁が指摘するのは「事故死とするのであれば、家まで連れ帰った近所の男性はなぜウソをついたの? そんなわけはない」という点。えん罪事件というテーマに長年取り組む、映画監督の周防正行氏は「真犯人を見つけることは弁護士の仕事ではない」と、再審法の不備を訴える。

番組では、再審開始決定を出した元裁判官や事件の最重要人物の親族も独自に取材。体調を崩してメディアへの出演を控えていた、原口アヤ子さんの長女・京子さんも取材に応じた。“残された時間は少ない”95歳の母親の最後の闘いに、認知症で満足に話せない原口さんに代わり、再び勇気を振り絞り“再審開始”を訴える。

大崎事件、事件発覚から43年の漂流。原口さん、そして関係者の思いは一体どこにたどり着くのか…。