帝国データバンクは1月24日、2022年の企業倒産件数(負債1,000万円以上の法的整理が対象)について集計した「全国企業倒産集計2022年報」を発表した。
2022年の倒産件数は、6,376件(前年6,015件)と、前年から6.0%増加し、2019年以来3年ぶりの増加となった。コロナ禍での減少が続いていたが、2022年5月以降は増加基調が続いていたこともあり、コロナ禍で初の増加となった。
負債総額は2兆3,723億8000万円(前年1兆1,633億900万円、103.9%増)。6月に発生したマレリホールディングス(埼玉、民事再生法、負債1兆1856億2600万円)の法的整理の影響もあり、2017年以来5年ぶりに2兆円台を記録した。
業種別にみると、小売業を除く全業種で前年比増加。サービス業は、2017年以来5年ぶりに100件以上増加した。特に老人福祉事業は大幅増となり、2000年以降で初めて129件と3ケタを記録した。
小売業は、3年連続で前年から減少した。しかし、飲食店では人流回復などの影響により件数は減少したが、負債規模が増加している。
倒産の主因別にみると、「不況型倒産」の件数は3年ぶりの前年比増加。最多は「販売不振」の4836件、構成比は75.8%を占めた。「経営者の病気、死亡」は、過去20年で最多だった2021年を超え、過去最多を更新。
倒産を態様別に見たところ、92.7%が「破産」を占めた。破産は300件以上増加し、リーマン・ショック時である2009年以来、13年ぶりの増加幅を記録している。「清算型」倒産の合計は6,186件、「再生型」倒産は190件発生した。清算型倒産は3年ぶりの前年比増加、再生型倒産は3年連続の前年比減少となった。
負債規模別にみると、負債「5,000万円未満」の倒産は3,682件(前年3665件、0.5%増)、構成比は57.7%を占めた。「1億円未満」や「5億円未満」で前年から100件以上の大幅増を記録するなど、中小零細規模での倒産増加が目立つ。
業歴別にみると、業歴10年未満の新興企業で前年から300件以上増加した。新興企業全体で前年から300件以上増加したのは、2008年以来14年ぶり。
地域別にみると、9地域中6地域で前年比を上回った。東北は前年比50%の大幅増を記録したが、四国は過去40年で最少件数を記録した。
帝国データバンクは、特に倒産が急増している業種として「フィットネスクラブ」運営会社を挙げた。倒産件数は27件と前年の3倍で、リーマン・ショック直後で需要が大きく後退した2008年の13件をも上回り、2000年以降で過去最多となった。
また、借入金の利払いを自前の営業利益で3年以上賄うことができなかった「ゾンビ企業」の倒産も3年ぶりに増加した。22年のゾンビ企業の倒産1社当たり負債額は約3億1,100万円で、全体(7,700万円/社)に比べて約4倍の規模に達している。コロナ関連融資や各種助成金といった多額の支援金が、有効に活用されずに霧散した可能性もあるという。