ステランティスジャパンはアルファロメオの新型SUV「トナーレ」を発売した。ブランド初の電動車(マイルドハイブリッドシステム搭載)であり数々の先進装備を標準装備するトナーレは、これまでアルファロメオに興味がなかった新規客の獲得に貢献しそうな1台だ。
マニアじゃなくても買えるアルファロメオ?
アルファロメオといえば、よほどの自動車マニアかイタリア車に何らかのこだわりを持つ数寄者が乗るクルマというイメージがあったのだが、トナーレは同ブランドの初心者にも優しいさまざまな特徴を持つSUVだ。
まず、サイズ的に日本でも乗りやすい。「Cセグメント」に属するコンパクトSUVのトナーレは、ボディサイズが全長4,530mm、全幅1,835mm、全高1,600mmと手の内感がある。特に1,840mmを切る横幅が嬉しいし、運転しやすそうだ。
そして燃費も悪くない。パワートレインは新開発の1.5L直列4気筒直噴ターボエンジン(最高出力160PS、最大トルク240Nm)に48Vモーター(同20PS、135Nm)を組み合わせたマイルドハイブリッド(MHEV)。低速時(15~20km/h)はモーターで走行し、モーターの負荷が高まるとエンジンが起動して加速をアシストする仕組みだ。アクセルオフにすると燃費向上に寄与するコースティングモードに切り替わり、減速時には回生でバッテリーを充電する。Cセグメントの輸入SUVにはガソリン、ディーゼル、MHEV、ハイブリッド(HV)など多彩なパワートレインがそろっているが、トナーレの燃費16.7km/Lは「HVをのぞけばクラストップレベル」だとステランティスジャパンは強調する。
最新のクルマらしく、先進装備を満載している点もトナーレの魅力だ。12.3インチの大型デジタルクラスターメーター、アイシン製のナビ、スマートフォンとの連携も可能なコネクテッド機能、先進運転支援システム(ADAS)などは標準装備となっているので、使い勝手の面でもライバル達に引けを取らないのではないかと考えられる。
それでいて、アルファロメオ伝統の「スポーティネス」も兼ね備えているのがトナーレの特徴だという。例えば俊敏なハンドリング性能やリニアな応答性などだ。快適なクルマでありながら、ブランドの特徴である「曲がる楽しさ」を併せ持つクルマに仕上がっているとステランティスジャパンは自信を示す。
アルファロメオの入門編になりそうなトナーレの登場により、これまで同ブランドのクルマに興味がなかった人、「アルファロメオは私のような一般人が乗るクルマではない」と考えていたような人を取り込めるのでは? トナーレの発表会で話を聞いたプロダクトマネージャーに水を向けてみると、「ようやく、ショッピングリストに入れていただけるかもしれませんね」とのこと。間口は広いが奥は深い。そんなクルマに仕上がっているとしたら、トナーレの競争力は高そうだ。
価格は「Ti」(ティーアイ、受注生産)グレードが524万円、日本導入記念モデルの「Edizione Speciale」(エディツィオーネ・スペチアーレ)グレードが578万円。思ったほど高くないという印象なのだが、どうだろうか。導入記念モデルが売り切れたら「ヴェローチェ」というグレードが入ってくる予定だ。
「Ti」の装備については、「付けてはみたものの実際には使わないようなものは外して、お客様が本当に必要とするものを標準装備としました」(前出のプロダクトマネージャー)とのこと。導入記念モデルには専用の20インチアルミホイール、ステアリングヒーター、レザーシート(電動調整、シートヒーター、ベンチレーションつき)、プレミアムオーディオなどの快適装備が追加となる。