東京商工リサーチは1月23日、2022年全上場企業「不適切な会計・経理の開示企業」調査の結果を発売した。
「不適切会計」開示企業は55社
2022年に「不適切な会計・経理」(以下、不適切会計)を開示した上場企業は、前年比7.8%増の55社、件数も同7.8%増の55件となった。2008年の集計開始以降、2019年の70社73件をピークに、2021年は51社51件に減少していたが、2022年は3年ぶりに前年より増加した。
55件の内訳をみると、経理や会計処理ミスなどの「誤り」が同4.1%増の25件で最多。以下、子会社で不適切会計処理などの「粉飾」が同6.6%増の16件、着服横領が同16.6%増の14件と続いた。
発生当事者別にみた場合、一番多かったのは「会社」の21社(構成比38.1%)で、会計処理手続きなどの誤りが目立ったという。次は「子会社・関係会社」の20社(同36.3%)で、見せかけの売上増や利益捻出のための不正経理が多かった。以降、「従業員」が12社(同21.8%)、「役員」が2社(同3.6%)となった。
産業別では、「製造業」が最も多く前年から横ばいの17社。国内外の子会社・関連会社による製造や販売管理の体制不備に起因するものが目立った。次は「運輸・情報通信業」が同125.0%増の9社で、子会社の不適切会計による粉飾、子会社社員や役員の着服横領などが多かったという。
同調査は、自社開示、金融庁・東京証券取引所などの公表資料に基づいたもの。上場企業および有価証券報告書の提出企業を対象に、「不適切な会計・経理」で過年度決算に影響が出た企業や、今後影響が出る可能性を開示した企業を集計している。なお、同一企業が調査期間内に内容を異にした開示を行った場合、社数は1社、件数は2件とした。