帝国データバンクは1月23日、「価格転嫁に関する実態調査(2022年12月)」の結果を発表した。調査期間は2022年12月16日〜2023年1月5日、調査対象は全国2万7,163社で、有効回答は1万1,680社。
「全く価格転嫁できていない」企業は15.9%
自社の主な商品・サービスにおいて、コストの上昇分を販売価格やサービス料金にどの程度転嫁できているか質問すると、『多少なりとも価格転嫁できている』企業は69.2%。内訳をみると、「すべて転嫁できている」は4.1%にとどまり、「8割以上」が12.7%、「5割以上8割未満」が17.1%、「2割以上5割未満」が15.2%、「2割未満」が20.1%となった。それに対し、「全く価格転嫁できていない」企業も15.9%あった。
価格転嫁をしたいと考えている企業の販売価格への転嫁割合を示す「価格転嫁率」は39.9%。これは「コストが100円上昇した場合に39.9円しか販売価格に反映できていないことを示している」という。
価格転嫁率を業種別にみた場合、「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」が最も高く66.0%。次いで「化学品卸売」・「紙類・文具・書籍卸売」が同率の62.8%、「建材・家具、窯業・土石製品卸売」が58.8%と続いた。一方、「医療・福祉・保健衛生」は10.5%、「娯楽サービス」は12.7%と、1割台にとどまった。
価格転嫁以外の対応策については、「自社経費の削減」が58.6%でトップ。以降、「ロスの削減」が42.4%、「生産の効率化」が23.4%、「内部留保による対応」が17.3%となった。
価格転嫁ができない、難しい理由を聞くと、「取引企業から理解が得られ難い」が39.5%で最多。次いで「自社の交渉力」が25.0%、「消費者から理解が得られ難い」が20.1%と続いたほか、「交渉自体行えない」企業も7.5%となった。