動画全盛の時代。さまざまな趣向を凝らした“おもしろ動画”や“映え動画”が巷にあふれていますが、「いつもの風景」を切り取った動画にこそ、幸せが詰まっているのかもしれません。
新潟のおまんじゅう屋さん、乙まんじゅうや(@kinotomanju)の「いつもの風景」は、9.3万人の心に刺さったようです。
ただいま弊社では、
蒸しあがった饅頭を眺めるだけの動画がどの位の方に刺さるか
という実証実験を行なっております。(@kinotomanjuより引用)
蒸気が漂う、蒸したてのおまんじゅう。つやつやとした皮と、ふっくらとしたまあるい形に目を奪われます。
「蒸しあがった饅頭を眺めるだけの動画」という言葉通り、ひたすら蒸したてのおまんじゅうを映しているだけで、あまり変化はありません……。
ところが、じっとおまんじゅうを眺めていると、その白さやまあるいフォルムに愛着がわいてくるから不思議です。
ただいま弊社では、
— 乙まんじゅうや【公式】〜地方発送承ります〜 (@kinotomanju) January 17, 2023
蒸しあがった饅頭を眺めるだけの動画がどの位の方に刺さるか
という実証実験を行なっております。 pic.twitter.com/rNhKJ0tYg5
実に9.3万件もの「いいね」を集めたこのツイート(1月19日時点)。リプライでは、「幸せしかない…」「グサっ」「魂撃ち抜かれました…」「永遠に見ていられます」など、この動画が刺さった人からの賞賛の声が殺到しました。
ツイ主の「乙まんじゅうや」は、江戸時代から続く、新潟県胎内市のおまんじゅう屋さん。ちなみに「乙」は「おつ」ではなく「きのと」と読みます。
近くには北陸の名刹「乙宝寺(おっぽうじ)」があり、乙まんじゅうは古くから参拝土産として親しまれてきたのだとか。
皆様沢山の反応ありがとうござい蒸す!
— 乙まんじゅうや【公式】〜地方発送承ります〜 (@kinotomanju) January 17, 2023
折角なので宣伝させてください!
当店は乙まんじゅうという饅頭を1804年より作っている饅頭屋です(地方発送も承っております)
当店が在る新潟県胎内市乙(きのと)は736年開山の乙宝寺という名刹があります。お近くにお越しの際は乙にお立寄り頂けたら嬉しいです🙇♂️ pic.twitter.com/jC22Ii5LQS
今回、多くの人の心を撃ち抜いた、蒸したてのおまんじゅうを眺めるだけの動画。「実証実験」の結果をどう受け止めているのか、「乙まんじゅうや」の中の人に聞いてみました。
「中の人」に聞いてみた
――今回の動画を投稿したきっかけを教えてください。
Twitter担当の私が繁忙期明けで疲れておりまして、蒸気をボーッと眺める動画をツイートしたいなと思い撮影しました。
元々乙まんじゅうをメインに写真を出し続けるアカウントで、毎回文言だけフォロワーの方に楽しんでいただけるように小ボケ感を出すツイートをしておりましたので「実証実験」というツッコミどころを入れたツイートをしてみました。また当アカウントのフォロワーの方は蒸気がのぼっている写真や動画が好きな方が多いので、皆様に喜んでいただけるよう蒸気ありきでツイートしています。
――実証実験の結果はいかがでしたか?
まさかこんなにリアクションをいただけると思っておらず、正直に驚いております。昨日の夜から地方発送のご注文もたくさん入っており、嬉しい悲鳴をあげています。
正直なところ、昔ながらのまんじゅうでインスタ映えするような商品ではないので、一部の方に刺さったら御の字と思っていたので……。
蒸しあげツイートはたくさんの方に喜んでいただいたり、ホッとしたりしていただけることがわかり、実験は大成功かと思っております(何より、当店の看板商品に対してこんなにリアクションをいただけて、こんなに嬉しいことはないというのが1番の感想です)。
――「乙まんじゅう」はどのようなおまんじゅうなのでしょうか。
1804年の創業当時から作り続けている看板商品です。膨張剤等は一切使わず、糀を原料に使い、発酵させて作る酒まんじゅうです。糀のほのかな風味と自家製の甘さ控えめのこしあんが特徴となっております。江戸時代より、地元の名刹乙宝寺の参拝土産として親しんでいただいています。
今どきの「インスタ映えスイーツ」とは違いますが、シンプルだからこそ、皮のつやつや感やフォルムの美しさが際立っていますよね。1804年の創業時から変わらない製法で作られる新潟最古の酒まんじゅう、ぜひ1度味わってみたいものです。