クルマのサブスクリプションサービス「KINTO」が好調な様子だ。トヨタ自動車「プリウス」の取り扱いを開始したことが功を奏し、月間申し込み件数は過去最高を達成する勢いを示しているという。プリウスのKINTO専用グレードを渋谷で展示中と聞いたので、現地で取材してきた。
生産計画は別建て、今なら納期は1.5カ月から
新型プリウスが月額1.661万円から――。KINTOの価格設定は衝撃的だった。HPで確認すると、この料金はコンパクトカーの「アクア」よりも安い。
新型プリウスにはKINTO専用の「U」というグレードが設定されている。KINTOではプリウス Uグレードで新サービス「KINTO Unlimited」を開始。この取り組みについては前に詳報した。
プリウス Uグレードには将来のアップグレードに備え、ハードを後付けするための施工作業の大部分を前もって織り込んでおく「アップグレードレディ設計」が施してある。自動車メーカーがサブスク専用グレードを用意することも新しい取り組みだが、クルマを作る際に原価が少し余計にかかる「予備工事」を行っておくというのも前代未聞の話だ。
クルマを購入する場合、どんなメーカーオプションを付けるかは購入時に選ぶのが普通なので、いろいろと不安になってついついオプションをてんこ盛りにしてしまったり、付けてはみたものの実際には使わないオプションがあったりと、無駄なことも多かった。プリウスのUグレードであれば、とりあえずオプションなしの素の状態で乗り始めても、「やっぱりあのオプションが欲しい」と思えば後付けできるのが利点だ。
後付け可能なオプションのメニューは第1弾が「ブラインドスポットモニター」「パノラミックビューモニター」「ステアリングヒーター」で、今後も増えていく見込み。アップグレードレディ設計により、オプションの後付けは全国のディーラーでやってもらえるし、施工時間も短くて済む。
クルマをアップグレードしていけば、クルマの価値の下落が抑えられる。つまり、何もしなかった場合よりも下取り価格が高くなる。KINTOユーザーは契約終了後、クルマを返却することになるので下取り価格アップの恩恵は受けられなさそうなものなのだが、KINTOではアップグレードによって生じる(はずの)価値の差額をユーザーに還元することで、月額料金を従来比10%程度抑えたという。
プリウスの取り扱いを開始した効果は絶大なようだ。KINTOでは「U」のほか、2.0Lエンジンを積む「Z」「G」もサブスクで乗れるが、全てのグレードで順調に受注が入っているとのこと。プリウス効果もあり、2023年1月の全体(全車種)申込み件数は2019年のサービス開始以降、過去最高となる見込みだという。
納期についても耳よりな話が聞けた。KINTOが取り扱うプリウスは、トヨタの販売店で売るプリウス(サブスクではなく、購入して所有するプリウス)とは別建ての生産計画を構えているそうなのだ。例えばの話、プリウスを買いたい人がたくさんいた場合、購入から納車までの期間はどんどん伸びていってしまうわけだが、トヨタではKINTO向けのプリウスを別の生産計画で生産しているから、KINTOで申し込めば、普通に購入するよりも早くプリウスに乗れるかもしれないのである。1月20日の夜にHPで確認したところ、Uグレードなら契約から1.5~2カ月程度で納車してくれるそうだ。