東京電力ホールディングス(東京電力)と東京電力エナジーパートナー(東電EP)は1月23日、2023年6月1日から平均29.31%の電気料金値上げを、経済産業大臣へ申請したと発表した。対象は、一般家庭などで使われる低圧規制料金(特定小売供給約款)。低圧自由料金についても、同時期から平均5.28%の値上げを予定している。

  • 電気料金値上げ申請の対象(画像:東京電力のニュースリリースより)

東電EPは燃料・卸電力市場価格の急激な高騰や円安の継続を背景に、2022年9月に特別高圧・高圧向け料金価格の見直しを、2022年11月に上限付きの規制料金を含む全ての低圧料金価格の見直しを検討すると告知していた。

同社は今回、低圧で電気を使う利用者の電気料金(規制部門および自由化部門)を対象に、値上げの認可申請を経済産業省に提出した。規制料金では現行料金から平均29.31%の引き上げ、自由料金については平均5.28%の引き上げを想定する。申請上の実施予定日は令和5年6月1日。

電気料金の引き上げは、燃料価格の変動に応じて自動的に電気料金を調整する「燃料費調整額」が2022年9月分以降上限に達している状態が続いていること、他の小売電気事業者から東電EPへ契約を切り替えるユーザーが増えていることなどから、東電EPの負担が増加していることが理由。

東電EPにおける2022年度の経常損益は過去最大の5,050億円の損失。2021年度まで黒字だった規制部門でも、2022年度は1,600億円程度の最終損失を見込んでいる。2023年2月分は、上限がない状態を仮定すると約7円/kWhぶん現状と乖離しており、この水準が続くと東電EPの負担額は2023年度で約2,500億円にのぼる見込みという。

  • 燃料価格と卸電力取引市場価格の推移。いずれも急激に高騰している(画像:東京電力のニュースリリースより)

  • 燃料費調整が上限に達してのち、現状から価格の乖離が続いているとする(画像:東京電力のニュースリリースより)

値上げの例として、従量電灯Bプランでは1契約あたりの最低月額料金が従来235円84銭だったところ、申請料金は355円52銭。同プランの電力料金は最初の120kWhまでが1kWhあたり25円01銭だったところ、申請料金は34円84銭となる。

なお、規制料金の変更は、国の審査などを経た後に経済産業大臣の認可を受けて正式決定されることになる。経済産業省は1月23日、を東京電力エナジーパートナーからの値上げ認可申請を受理したと発表した。今後は経済産業省が、電力・ガス取引監視等委員会や国民からの意見を踏まえながら認可に向け対応していく。

  • 電気料金変更の認可手続きについて(画像:経済産業省のニュースリリースより)