「日本のひなた」とも言われる温暖な気候の宮崎県。宮崎名物=地鶏のイメージも強いが、実は日本最高峰の黒毛和牛の産地としても有名だ。宮崎牛は「和牛のオリンピック」とも言われている「全国和牛能力共進会」にて、肉牛の部で最高賞となる「内閣総理大臣賞」を史上初となる4大会連続で受賞。なぜそこまで評価されるのか? その秘密に迫った。
脂の融点が低く"体温で溶ける"
宮崎県の農業産出額のうち66.4%は畜産で、畜産の中でも35.3%を占めるのが肉用牛。なんと北海道・鹿児島に続く全国3位の肉用牛を保有している。
優れているのは保有している牛の頭数だけではなくそのクオリティも。宮崎牛として名乗れるのは「宮崎生まれ宮崎育ちであること」「宮崎県の種雄牛が父牛」、さらに「肉質等級5等級及び4等級」でなければならないなど、他県にない厳しい基準がある。
そんな厳しいルールを守ってきたこともあり、「和牛のオリンピック」とも言われている「全国和牛能力共進会」にて、肉牛の部で最高賞となる「内閣総理大臣賞」を史上初となる4大会連続で受賞。日本最高峰と名乗ることができる和牛だ。
その美味しさは各地で評価されており、アカデミー賞授賞式後のアフターパーティーに採用されたり、プロゴルファー松山英樹選手がマスターズチャンピオンズディナーのメニューに採用したりと多くのグルメ通を唸らせている。
宮崎牛を炭火焼で食べてみたら……
「宮崎風土 くわんね Quwanne」は宮崎グルメを味わえるレストラン。新宿サザンテラスにある「新宿みやざき館KONNE」の2階に位置する。
宮崎牛のイチボを使用した「宮崎牛炭火焼」には戸村フーズの焼肉のたれ、柚子胡椒、みそパウダー、そして八重桜で色付けされた塩が添えられている。
宮崎牛には脂の融点が低くなる「オレイン酸」が多く含まれている。くちどけがよく、風味や和牛独特の香り「和牛香」が際立つ。
口に入れてみると旨味、そしてゆっくりと優しい脂が広がる。体温でも溶ける脂分なので、食べ疲れもしにくいという。年齢を重ねるとなかなか牛肉は重たいな、と思うこともあるが、食べ進めても全く胃もたれするような嫌な感じも重さもない。これならいくらでも食べられてしまいそう……と思えるほど。
同店ではアラカルトからコースまで様々な形で宮崎グルメを楽しむことができる。宮崎県の農産物をふんだんに使用した「季節の前菜」はその日によってメニューが変わる。この日はにんじんのナムル、太刀魚の南蛮漬け、玉子焼きなどが提供された。
宮崎県の代表的な郷土料理「冷や汁」も。魚の出汁で味噌を溶き、薬味や豆腐、キュウリなどと一緒にご飯にかけて食べるものだ。
いりこ出汁の風味が香り、ベースに使用されているのは麦みそ。優しくクリーミーな深い味わい。さすが宮崎グルメのお店というだけあって本場の味だった。
そしてもうひとつの宮崎名物といえば、きんかん。日本全国のきんかんのうち7割が宮崎で生産されている。
花が咲いてから収穫までに210日以上をかけて樹上で完熟させるためとても甘く、特に「たまたま」という品種は糖度16℃以上、直径28mm以上の基準をクリアしたもの。マンゴーの糖度は15度だというから、その甘さがイメージできるだろうか。ビタミンCとビタミンEを豊富に含み、栄養機能食品でもある。
日本最高峰の和牛・宮崎牛をはじめ、「日本のひなた」で育まれた絶品グルメを一度味わってみてはいかがだろうか。