不況に強く、比較的リスクが低いとされる買取ビジネス。フランチャイズの力を借り、「買取業で開業してみよう」と考えている人もいるのではないでしょうか。

しかし、ビジネスである以上、買取フランチャイズに加盟したからといって、必ずしもうまくいくとは限りません。中には、失敗して廃業してしまった人の声も聞こえてきます。買取業のフランチャイズで失敗する原因とはどのようなものなのでしょうか。主な原因のほか、買取フランチャイズで失敗しないための対策をまとめました。

■買取フランチャイズで失敗する原因6つ

買取フランチャイズで失敗する原因はさまざまあり、また、いくつかの要素が重なって廃業となってしまった人もいるようです。ここでは、買取フランチャイズで失敗する主な原因を6つご紹介します。

1.ロイヤリティが高い

収益の割にロイヤリティが高すぎると、ロイヤリティの支払いが重荷になり、失敗に終わってしまうケースがあるようです。ただし、一概に「ロイヤリティが高いフランチャイズはよくない」というわけではありません。ロイヤリティが高い分、本部のサポートや集客がしっかりしており、加盟店が充分やっていけるだけの収益が得られているなら問題ないでしょう。

しかし、支払うロイヤリティに見合うリターンが得られない場合は考えものです。加盟店はロイヤリティを支払う代わりに、看板使用の権利や本部のブランド力、経営ノウハウの活用、サポートなどが得られます。そうしたリターンが充分でないと、加盟店は経営を続けることが難しくなる場合もあるでしょう。

フランチャイズへの加盟を検討するなら、ロイヤリティの金額だけでなく、ロイヤリティと引き換えにどのようなリターンが得られるのか、その結果、経営はうまくいくのかをしっかり見極める必要があります。

2.競合の多い地域に出店してしまった

ブランド力のあるフランチャイズに加盟しても、競合の多いエリアに出店してしまうと、失敗するリスクが高くなります。また、他企業の店舗と競合するだけでなく、同じフランチャイズの他店舗と距離が近くなってしまう場合もあるでしょう。

買取業は、立地条件がさほど影響しないビジネスですが、「ライバル店の存在」という周辺の環境によって、売上は大きく左右されてしまいます。立地のよさだけで店舗を決めず、周りに競合店が多すぎないか必ず確認しましょう。

3.偽物や盗品を買い取ってしまった

買取ビジネスをしていると、時には偽物や盗品が持ち込まれることもあります。その際、偽物や盗品を誤って買い取ってしまうと、本部が買取に応じてくれず、買い取った商品の分を利益にできません。

また、盗品の場合、持ち主が「返して欲しい」と言えば基本的に無料で返品する必要があり、買い取った分の金額は赤字になってしまいます。

一度こうしたミスをしてしまった、というだけで廃業に追い込まれることはありませんが、偽物や盗品を繰り返し買い取ってしまうと、損失が膨らみ、経営を続けられない可能性が高くなります。損失分は自分の責任となり、本部は基本的に補償してくれません。買取業をする以上、偽物や盗品の買取を防ぐための工夫は欠かせないのです。

4.収益モデルを鵜呑みにしてしまった

フランチャイズに加盟する前、説明会などで、本部から開業後の収益モデルを伝えられることがあるでしょう。しかし、この収益モデルは成功した事例をもとにしています。フランチャイズに加盟したからといって、必ずしも全ての加盟店が同じようにうまくいくとは限らないのです。

提示された収益モデルを鵜呑みにしてしまうと、開業後に「思ったより儲からない」と失望したり、資金計画が甘くなったりするかもしれません。収益モデルはあくまで成功例と知り、そのうえでフランチャイズの加盟を検討しましょう。

5.想定より経費がかさんだ

買取業は、必要な敷地面積も小さく済み、オーナー一人で始めれば人件費もかかりません。比較的少ない費用で開業が可能ですが、想定より経費がかさんだことで廃業してしまったケースもあります。

店舗を運営するには家賃のほか光熱費、スタッフを雇う場合は人件費がかかります。また、フランチャイズの場合は、本部から広告宣伝費やシステム使用料などの請求がくるケースもあります。また、ロイヤリティの存在も大きいです。

これらの経費の見積もりが甘いと、開業後の資金繰りがうまくいかず失敗してしまうこともあります。

6.フランチャイズ選びを誤った

「そもそも、フランチャイズ選びに失敗した」という声もよく聞かれます。買取フランチャイズにはいくつもの種類が存在していますが、いくら知名度が高くても、加盟店にとって「よいフランチャイズ本部」ではない場合もあるのです。

特に、サポート体制は重要です。買取ビジネスは専門性が高く、初心者が少し勉強しただけで始められるものではありません。本部が鑑定、査定のノウハウや価格交渉のスキルなどをしっかり教えてくれ、営業についてもフォローしてくれるところでないと経営は難しいでしょう。

しかし、中には、マニュアルを渡すのみで個別サポートをしてくれないようなフランチャイズもあるようですので、加盟前に評判をしっかり調べておく必要があります。

また、経営を成功させるには、フランチャイズ本部と加盟店との信頼関係も非常に重要な要素です。加盟店に不利な条件を押し付けるフランチャイズも存在しますので、こちらも事前に評判を確認しておきましょう。

さらに、加盟店が急激に増えているフランチャイズでは、加盟店に対するフォローや管理が手薄になっているところもあります。経営上の悩みがあっても取り合ってくれない、店舗に派遣された担当者が業界未経験者や初心者だったなど、不安要素の多いフランチャイズに加盟してしまわないよう気を付けましょう。

■買取フランチャイズで失敗しないための対策

では、せっかく希望を持って始めた買取ビジネスを失敗で終わらせないためには、どうすればいいのでしょうか。失敗の原因を作らないためには、以下のような対策を取りましょう。

1.本部の研修やサポート体制を確認する

加盟店の教育や管理に熱心でないフランチャイズを選んでしまうと、初心者の場合は特に、安定した経営が難しくなります。しっかり研修してくれるのか、開業後も個別にサポートしてくれるのかを加盟前に必ず確認しましょう。

複数の買取フランチャイズを比較するだけでなく、できる限り実際の加盟店オーナーの声も聞きたいところです。

2.真贋・査定の体制や集客体制をチェックする

買取フランチャイズの中には、AIによる真贋判定システムを導入していたり、Webのビデオ通話で本部が査定する体制を取っていたりするところもあります。偽物の買取による損失を防ぐには、こうした体制の整っているフランチャイズに加盟するのもいいでしょう。

また、ロイヤリティや広告宣伝費がかかる場合、それに見合った集客体制があるかどうかも見極めるべきポイントです。イメージキャラクターに有名人を起用する、インターネット広告を打つなどフランチャイズによって方法はさまざまですが、充分なリターンが見込める集客体制があるのかも必ずチェックしておきましょう。

3.商品知識や査定、鑑定ノウハウを身に付ける

AIによる真贋判定、本部が査定する体制があれば安心ですが、自分が経営者として店舗運営する以上、やはり責任を持って商品知識を身に付けることは欠かせません。

また、本部から査定や鑑定の研修が受けられるとしても、スムーズな運営のために足りないと思う部分は自ら積極的に学ぶ姿勢も必要です。査定の知識が養われると収益も伸びますので、努力を怠らず勉強しましょう。

4.受け身にならず経営者としての自覚を持つ

フランチャイズに加盟する際は、加盟店にとってよい本部、信頼できる本部を選ぶことは言うまでもありません。一方で、「フランチャイズに加盟すれば何もしなくても儲けさせてもらえる」と考えるのは間違いです。

フランチャイズに加盟するということは、加盟店オーナーとしてその店の経営者になることを意味します。自分の店を経営するのですから、受け身で本部に頼りきりになるのではなく、経営者の自覚を持ちビジネスに積極的になりましょう。

商品や市場動向、トレンドについて自分で勉強するほか、疑問点があれば本部に相談してみましょう。また、自分にできる集客方法があれば、取り入れるのもおすすめです。

5.資金計画を精査する

買取フランチャイズに限った話ではありませんが、開業資金や開業後の資金繰りを見誤ると、資金がショートして経営が立ち行かなくなる恐れがあります。

「思ったよりも開業資金がかさみ、運転資金がなくなってしまった」「収益モデルのように売り上げられず、ロイヤリティの支払いが重荷になっている」といった事態にならないよう、開業前の資金計画はしっかりと精査するようにしましょう。

6.出張買取などで小さく始める

買取フランチャイズには、店舗を持ち運営するスタイルのほか、「出張買取」といって店舗を持たずに運営するスタイルもあります。店舗を持つ場合、当然ながら家賃や光熱費などの固定費がかかりますが、出張買取の場合は自宅の一室から1人で開業することも可能です。

出張買取専門のフランチャイズに加盟し、固定費や人件費を抑えながら小規模で買取業を始め、少しずつビジネスを拡大するのもいいでしょう。

■経営者の自覚を持ち、フランチャイズ本部を活用しよう

今回は、買取フランチャイズで失敗する原因や、失敗しないための対策について解説しました。目まぐるしい成長を遂げるリユース市場ですので、参入するだけで稼げると考えてしまう人もいるようですが、それは違います。

フランチャイズに加盟するとしても、自分は経営者だと自覚して積極的にビジネスを行い、「フランチャイズ本部はビジネスパートナー」という認識を持ちましょう。

一方、加盟前のフランチャイズ選びで失敗してしまう人も少なくありません。買取フランチャイズはくまなく調べてよく比較し、納得のうえで加盟するようにしましょう。